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スターライトメモリー ページ3

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「ねえ、今日の夕方暇?」


その日の朝は、メンバーも殆どいなくなった時間に、珍しく余裕を持って支度をしている北ちゃんに呼び止められた。


初めてではないそのフレーズの問いかけに、答えるより先に嫌な予感がしてしまい返答に迷ってしまう。
勿論日々の家事があるから暇と言ったら嘘になるけど、特に自分の予定がないのも事実である。
言い淀んでいると何を察したのかにやりと口角を上げた美しい悪魔は続ける。


「暇だよね、どこも出かけないでしょ」
「あーいや、まあそう言われればそう、なんだけど」
「俺ら今日晩飯いらない日」
「えっ!?」
「じゃ、17時にここね」
「ちょ、北ちゃん!」
「うわあやばい遅刻する〜いってきま〜す」


まるで遅刻するような人間の口ぶりではない程に棒読みのそれと共に出て行かれて、引き留めるにも踏み切れず結局また了承するみたいな形になってしまった。
でも確かに夜ご飯がいらないとなればその日の家事の負担はかなり軽減される、されるけども。


無理やり握らされた、今回はチケットでもなんでもないメモ用紙に視線を落とす。
メモ用紙、というかどこぞで買い物したのであろうレシートの裏というのが、なんとも北ちゃんっぽい。
開けば男の子らしい不揃いな字で、ショッピングモールの名前と屋上の文字が書いてあって益々意味がわからない。

前回のようにみんなの出るライブに無理やり連れて行かれるわけではなさそうだけど、だとしたらそれこそ北ちゃんは私に何を見せたいというのだろうか。

なんか、そんな、これだけ見たらそれってすごく、



" Aとデート楽しみだから仕事頑張ってくるね! "



タイミングよく鳴ったLINEの通知音。

思い浮かべていたそれと全く同じものが、文字になって飛び込んできて思わずスマホを手放した。
……いやいや、これはイケメン界ではご挨拶程度のそれだ。
多分これ、顔の良い男は全世界共通で言ってる。
毎日言ってる。
毎秒言ってるからこれ。


ふう、と一息ついて落ち着く。
あーあ、これきっと時間になったら結局ここに行っちゃうやつだなあ。
なんて、分かりきった自分の浅はかさに嫌気が差しつつも、もう直ぐこんなこともなくなるんだと思うと、何だか少し楽しみにしてもいいような気もした。





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設定タグ:THERAMPAGE , 川村壱馬 , 吉野北人   
作品ジャンル:恋愛
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ミラン(プロフ) - 壱馬のデレ感がたまんないです!続き楽しみにしています! (2022年2月7日 11時) (レス) @page18 id: 2b4fe2f5e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:も。 | 作成日時:2020年12月20日 21時

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