番外その2、彼の嫌いなもの ページ20
シーザー「A、」
机に向かっていれば、後ろから
鍛えられた腕が伸びてきてお腹に回された。
シャボンのいい香り。
貴女「お風呂上がったんだね」
シーザー「あぁ。
ちゃんと勉強してるな…えらいよ」
うなじに落とされた口づけ。
滴った雫に肩が跳ねた。
シーザー「どうした？」
貴女「ここ、座って」
隣をとんとん、と叩いて。
腰を下ろしたシーザーさんの後ろに回って、
彼の首に回っていたタオルを取った。
…わしゃわしゃ。
シーザー「…ん、grazie」
綺麗なブロンドが水気を含んでしっとりと濡れて。
水も滴るいい男とは
よく言ったものだなぁ、なんて。
貴女「乾かさなきゃ風邪ひいちゃうよ」
シーザー「…そういえばここ何十年ひいてないな」
貴女「波紋って凄い」
何だか恐ろしいことを聞いてしまった気がする。
でも健康が一番大事だよね。
そこ！おばあちゃんみたいとか言わない！
貴女「あ、そうそう、シーザーさん
朝刊読んだ？」
シーザー「いや、まだ…どうかしたのか？」
貴女「アメリカのね、
シーザーさんの会社の本社の地域ね。
砂嵐が今、すごいらしくて」
シーザー「…」
アメリカってハリケーンやら砂嵐やら、
試されすぎだよね。
なんて思っていたら、シーザーさんが口を開いた。
シーザー「…A。
もう砂嵐の話は二度としないでくれ」
貴女「…え、」
シーザー「これで最後だ」
思わず、髪を拭いていた手が、止まる。
後ろに回って拭いてあげていたお陰で、
彼の表情は見えない。
シーザー「…いいかい、よく聞いてほしい。
砂嵐は衝撃波があるから、
避けたから大丈夫だとか思わないこと。
それと もう１つーーー砂嵐とは戦うな」
貴女「…？」
…砂嵐との激闘とは一体。
Gとの戦いですら敵前逃亡する私に
何をおっしゃるのかしら、ねぇ？
そんなふざけた思考を見抜いたように
急に手を握られた。
思わず体がこわばる。
貴女「あ、いや、分かったよシーザーさん！
大丈夫、分かってるから！」
シーザー「…まあ、どちらにせよ。
今度は もう二度と間違えない」
貴女「…シーザー、さん…？」
翡翠は見たこともないほどの鋭さを湛えて。
シーザー「君を逃がしてあげられないよ」
そう言って口元だけで
綺麗に笑ってみせるシーザーさんは、
どこか様子がおかしくて。
…今後、シーザーさんに砂嵐の話はしない。
そう誓った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：me* | 作成日時：2016年11月26日 23時
