12 ページ12
2014年9月ハワイ。
ライブDVDに収録されるインタビューと、特番用のインタビューを終えた夜。5人全員で食事をして、いい感じにお酒も入り、ふわふわとした笑顔でホテルに帰ってきた。
大野は、ずっと秘めていた事を告白できて、背負っていたものを降ろした気分だった。
だが、食事中、二宮はずっと離れないし、相葉は隙あらばハグをしてくるし、櫻井は目が赤いし、ちょっとダメージが強過ぎたかなと反省した。
でも、嘘を付いたままでいたくなかった。これだけは言わなきゃいけないと、心に決めていた。
一番驚くだろうと思っていた松本が、ただ時々、静かに淋しい目を向けていたのだけは、気になった。
大野は、少し遠慮がちに声をかけた。
「松潤」
「うん？」
「今日もウチ来る？」
ウチとは、ホテルの部屋のことだ。松本とは、ハワイに来てからずっと大野の部屋で二人きりで飲んでいた。
松本は大野の顔をじっと見た。
松本はこう見えて、感激屋だ。溢れんばかりの気持ちを、大野は受け止めてくれる。松本は、昔から、辛い時も嬉しい時も、静かに微笑んで気持ちに寄り添ってくれる大野の優しさに、癒されてきた。
だが、今夜は心の中に言葉にできない靄が、渦巻いていた。
大野が、もしかしたら居なくなっていたかもしれない。
想像だにしなかった。欠片も考えたことなど無かった。片鱗すら気付けなかったことに愕然とした。
松本は、間の抜けた自分を叱咤した。
「いいの？」
そう、思わず答えていた。
「あたりまえじゃん」
眉尻を下げた労るような笑みが、松本の胸を締め付けた。
いつものように、ベランダのテーブルで、缶ビールを開ける。
今日は楽しかったね。帰りたくないね。と壊れたレコードみたいに繰り返す大野は、既に酔っぱらっているようだった。
松本は胸の靄が晴れず、いくら飲んでも酔いが回らなかった。
「ねえ」
「うんん？」
松本は、大野の肩を確かめるように掴んだ。
「どっかに行ったりしちゃ、やだよ」
「ごめんねぇ、ビックリさせて」
「リーダー…居なくなったりしないでよぉ」
松本が涙声だったので、大野は思わず笑った。
「そんくらいで泣くなよぉ」
「泣いて…ねーわ…」
引き寄せられて、抱き締められたのは、泣き顔を見られたくないからだと大野は思った。今更なのに、と笑いが止まらなかったが、顔に影が被さった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 403人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
斑野 ニケ(プロフ) - 波智様 有難うございます。頑張ります♪ (2017年5月28日 22時) (
レス) id: bb37b897bd (このIDを非表示/違反報告)
波智(プロフ) - こんにちは。前回のコトは気にしないで下さいね。ニケさんの書く潤智大好きなんです。お互いがお互いに好き過ぎるって分かりキュンキュンします。お二人には幸せになってもらいたい。ニケさんお待ちしております。 (2017年5月28日 17時) (レス) id: 10c6f5bade (このIDを非表示/違反報告)
斑野 ニケ(プロフ) - 波智様 前回お名前間違えちゃって申し訳ありません。読んで下さって有難うございます♪この後いろんな展開があります。本当の愛に辿り着く二人を楽しみにして頂けたら幸いです。 (2017年5月28日 15時) (レス) id: bb37b897bd (このIDを非表示/違反報告)
波智(プロフ) - こんにちは、更新ありがとうございます。純粋で可愛らしい二人が大好きです。メンバーは二人が付き合っていると分かったらどんな反応をするかも楽しみで仕方がありません。ニケさん素敵なお話ありがとうございます。後編楽しみにしています。 (2017年5月27日 15時) (レス) id: 10c6f5bade (このIDを非表示/違反報告)
波智(プロフ) - こんにちは (2017年5月27日 15時) (レス) id: 10c6f5bade (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：斑野 ニケ
| 作成日時：2017年4月6日 18時
