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うそ…………なんで…??どうして…??
目の前の光景が信じられないあまり、声も出ない。
力が抜けて、持っていたカバンが地面に落ちる。
でもカバンのことも、
大勢の人混みの中立ちすくむ私を邪魔そうによけていく人たちのことも、
何も考えられなかった。
ただただ私は数メートル先で初雪を見上げながら
微笑んで歩いてくる彼を見つめるしかなかった。
10年前、
私に"初めて"を沢山くれた人。
私が素直になれた人。
私が初めて恋に落ちた人。
……そして、突然私の目の前から居なくなってしまった人。
まさにその人が目の前にいた。
「ひろ……?どうして……」
思わず口からこぼれた言葉は届くはずもなく
雪のように人混みに掻き消された。
頭が真っ白になって 視界が涙でぼやけた。
涙をぬぐった次の瞬間、彼はどこにもいなかった。
待ってよ。
夢だった?
私の幻だった?
どうしてよなんで今私の前に現れたの?
夢でもいい、幻でもいい。
気付けば私は無我夢中で
人混みを掻き分けて彼の姿を探していた。
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作者名:Keiko | 作成日時:2015年10月17日 12時