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舜太「これって、止めても大丈夫なんかなぁ……。何で動いてんのか知らんけど、止めてまた動くんやろか……？」
太智「確かに……」
舜太の言う通りだ。
この映写機、動力もないのに今動いているけれど、これを止めてしまったら、再び動かすにはどうすればいいんだ。
仁人「動かしたまま外して、セットすればいいんじゃないのか？」
太智「無理だよ……。フィルムを巻き返さないと外せないし、フィルムは色んな所に通さないといけないんだ……。動いてる状態じゃあ外すこともセットすることもできない……」
困った……。
折角見つけてきたこのフィルムも、このままじゃ何も見れない黒いテープになってしまう……。
柔太朗「お困りのようだね」
勇斗「柔太朗……」
すると、珍しく柔太朗が席を立って、映写室に顔を出してきた。
太智「柔太朗君……！何か、いい方法あるの……？」
柔太朗「いい方法も何も、この映写機は、心配しなくともフィルムをセットすれば自動的に動き出す。
だから、安心して止めてフィルム交換すればいい」
仁人「おい、お前何でそんなことわかるんだ？」
柔太朗「……ふふ。さあ？じゃあ僕は席でこの映画が始まるのを楽しみに待っているよ」
それだけ告げると、柔太朗は映写室からすぐさま出て行って、元の席に戻っていってしまった。
仁人「ちっ……。マジで何なんだあいつ……」
勇斗「……とにかく、あいつの言ったことを信じよう。
舜太、これを止めてフィルム交換してくれ」
舜太「わ、分かりました……」
それから、舜太は太智にも手伝ってもらいながら、映写機をいったん止め、元のフィルムを外して、俺とAが見つけてきたフィルムをセットしていた。
そして、セットし終えると。
カタカタカタ
という軽快な音が鳴り響き、再び映写機は動き始めたのだ。
もちろん、電源なんて差さっていないにもかかわらず。
舜太「ホンマに動き出した……」
眩い光を放ち、映写機は回る。
セットされたフィルムが音を立てて記された映像を映し出す。
俺達は映写室を飛び出し、大きなスクリーンに映し出されるその映像を、まじまじと見つめた。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
