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日が昇り、分厚い雲の隙間から明るい日光が降り注ぐ。
暗かった時よりも、砂漠の隅々まで見渡せる。
とはいっても、ここから見えるのはやはり何もない砂と岩でできた砂漠。
そして、その真ん中に建つ場違いな映画館の入り口で、Aが肩を震わせて泣いていた。
勇斗「A……」
泣きじゃくるAの背中に声をかけると、Aはピクリと肩を震わせた。
勇斗「ごめん、A……。俺、お前を泣かせるつもりなんて……」
A「分かってる……。
私がわがまま言ってるってことぐらい……。
でも、やっぱり私、勇斗が心配なの……。
これ以上、勇斗がどっか行っちゃったら……私……」
勇斗「お、俺だって、お前の事、心配で……。
でも、お前の気持ちももっと考えるべきだった……。
ほんとにごめん……。
それから、俺の事そんなに心配してくれて、あ、ありがとな……。
な、なぁ、これから一緒にあの地割れ、来てくれよ……」
A「え……いいの……？」
勇斗「うん……。俺は、お前に来てほしい……」
俺の言ったことは、嘘でもただの出まかせでもない。
確かに危険なことに巻き込みたくはないけれど、Aが俺のことを想ってくれたように、俺だってAのことを想ってる。
夏生さんに言われてそれを再確認できた。
だからこの先、俺はこいつと離れない。
俺が側にいれば、ずっとAを守ってやれる。
A「ありがとう……勇斗……」
勇斗「行こ……」
差し出した俺の手。
そして、それを握り返すAの手。
二つが重なって、温もりが産まれる。
絶対守るから。
そんなこと、今の俺には口に出す勇気もないけれど。
この手は、誰にも傷つけさせない。
そして、誰にも渡さない。
―
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
