【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ36)

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勇斗「白い幽霊？！」

夏生さんが話してくれたのは、またもや信じられない話だった。
なんと、今朝トイレに入ろうとすると、鏡に白い人影が映っていたというのだ。
見間違えじゃないかと思い振り返ると、そこには確かに白い服を着た何者かが立っていて、慌てて悲鳴を上げたらしい。
俺達のうちの誰か、ということは恐らくない。
白い服を着てる人なんかいないし、何より、その時全員眠っていたはずだ。

仁人「まさか、俺たち以外の誰かがいるのか？！」

それを聞いた俺と仁人は、映画館の中や周辺を徹底的に調べてみたが、そんな人影は見つけることができなかった。

仁人「寝ぼけてたんじゃないのか？」

夏生「ち、違うもん……。確かに、見たの……。白いお化け……」

舜太「白いお化け、か……」

勇斗「何か知ってるのか？」

舜太「いや、確か前に似たようなことを言ってるお客さんがおったような……」

太智「僕も聞いたことあるよ……。この映画館でたまに目撃される、白い幽霊の噂……」

勇斗「え？！マジで……？」

彼らが言うには、何でもこの映画館には昔から白い幽霊が出る、という噂が流れていたらしい。
別にそれを見たからと言って、何か不幸なことが起こったりするわけではないらしいが、定期的にそんな噂が流れていたらしかった。
ハッキリとした姿が目撃された訳ではないのだが、皆こぞってこういうそうだ。

白い服の誰かが立っていた、と。

時にロビーで、時にトイレで、時にシアターで。
まぁ、それも噂の範囲で、実際には光の加減や何か別のものの映り込みだろうと言われていたのだが、こうして身近な人が目撃したとなると、やはり何かいるのかも、と思ってしまう。

太智「それに、映画館って、そういうの、出やすいらしいですからね……」

と、太智は語る。
何でも、映画館は基本的に薄暗く、窓もなく空気が滞りやすかったり、人間のさまざまな感情が渦巻く場所の為、そういう良くないものが集まりやすいんだそうだ。
ということは、この映画館も、今俺達の様々な感情が入り乱れているからこそ、そういう良からぬものが見えてしまったと、そういうことなんだろうか。
俺は基本的にそういう超常現象の類は信じてないのだけれど、でも、今のこの状況じゃ、そんな世界の不思議が目の前で起こっても、何ら不自然ではないのかもしれない。