願い。3 ページ14
そんな俺の視線を知ってか、知らずか？
ニノはちょっぴり微笑んだだけで、何も言わずもう一口飲み込んだ。
薄い。と、そんな不平だけでも良いから聴きたかった俺の目論見は崩れ、仕方が無いから「つまみは？」と尋ねても「俺は何でも良いから」と一蹴されてしまう。
こんな事さえ何もしてやれないジレンマ。
俺はお前に幸せになって欲しい。
いや、四人には幸せでいてもらいたい。
ただ他の三人はそれなりに夢や希望があり、例えば大野さんら釣りをしたい、翔君なら旅行か。相葉君は………謎だが多分何かしらあるだろう。
だけど。
ゲーム？
好きには好きだと思うけど、リーダーの釣りをしたい願望とは何処か違っていて。
ニノが常々口にする「続ける事」の一つとして意味を見出だしているだけ。
そのルーティーンを守る事で自分の平穏を確立する為の媒体。それは生きて行く為にしている一環でしかないので無いか？
人間が息を吸って吐かないと死ぬ様に、ニノはゲームと言う他次元に身を置く事で、現実での鬱憤や思いを昇華して今の自分を保っている様な気がしてならないのだ。
「………さっきから、何考えてんです？」
「えっ？あ、ああごめん、ちょっと酔ったかも。」
黙って考え込んでしまった俺を、ニノは不安気に眉尻を下げながら見つめた。
色素の薄い茶色い瞳。
皮膚の下を通る血液が透き通る白い肌を華やかに染めていた。
「綺麗だ。」と単純に思った。
多分、造形として綺麗な人間は他にも沢山いるだろう。
でも………やっぱり、綺麗だ。
「嘘でしょ。松本さんがこの位で酔うなんて。」
可笑しそうにクスクス笑う悲しい瞳。
「ん、バーカ。俺だって、好きな人と一緒だと酔いが早くなるんだよ。」
俺はそう言いながらニノの手を取り、自分の胸に押し付けた。
「ね、ドキドキしてるでしょ。」
「………ホントだ。」
表情豊かによく笑うその顔。
俺はニノの手をそのまま引き寄せ、その愛しい身体を抱き込んだ。
「こうしたくて、ずっとドキドキしてた。」
その真っ赤染まった肌に触れ、その瞳に俺だけを写し、その薄い唇に重ねたくて。
「………そんなの。」
「？」
「そんなの、我慢しなくて良いのに…。」
背中に伸びてくる腕。
抱き込んだニノの体温が更に高くなったのが伝わって。
ちょっとだけニノも望んでくれた気がして。
「ニノ………。」
俺はそれが単純に嬉しかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 93人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
YUY(プロフ) - ちえさんさん» いえいえ。こちらこそ何時もありがとうございます。どうもこの二人のイメージは家族に近いんだよね。もう恋とか飛ばしちゃった感じかな？相葉さんが唯一お兄ちゃんになれる場所。(笑)まず誕生日企画一弾お待たせしました。(笑) (2017年6月25日 18時) (
レス) id: 846e4e6c3c (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - むふふふっ。いいなあ、この感じ。ベタベタしてないのに、空気感がどうにも甘い時ありますよね。あの二人。素敵なお話ありがとうございました！ (2017年6月25日 14時) (レス) id: c694c3d91d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：YUY
| 作成日時：2017年2月16日 13時
