piece324 バーボンside ページ24
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「……ん……う……救急車……!」
うっすらとそんな声が聞こえ、意識を取り戻す。取り戻すと言っても、体は全く言うことを聞いてくれない。
救急車か……。この辺りの病院だと、安室として僕を知っている人がいるかもしれない。というより確実にいる。できれば救急車は辞めてもらいたい。
力が入らない中、うっすらと目を開ける。
焦点が合わず相手の顔はよく見えなかったが、酷く慌てており、今にも泣きそうな顔をしていることだけは分かった。
声からしても恐らく女性。路地裏で出血している人を見たらそうもなるだろう。
「きゅ……しゃは……やめ……さい……」
ダメだ……これじゃ伝わってない……。
もう一度言い直そうと頭を回したが、それ以上喋ることはできなかった。
再び視界がボヤケ初め、女性の顔は更に見えなくなる。
薄れゆく意識の中で、「降谷さん」と呼ばれたような気がしたが、思考は完全に停止し、僕は再び気を失ってしまった。
◇
夢を見た。
目の前でゴリラが喧嘩していて、僕やその他のゴリラは楽しそうにお茶をしていた夢を。
◇
……なんていう夢だ。
僕は半ば呆れながら目を開く。
体はまだ怠く痛みがあるが、全然動いた。
部屋は電気が消され暗かったが、扉が開いている隣の部屋から光が入ってきていた。
その光を頼りに部屋を観察する。どうやら、輸血や治療はされているがここは病院ではないようだ。
ごく普通の寝室のようだが……。あの隅に置いてある携帯が気になるな。監視カメラ代わりか?
拘束もされていなければ扉も開いている。
治療のためか服は脱がされていたが、床にそっと置かれていた。畳まれてはいない。
ポケットのふくらみから見て携帯もあるし、拳銃もガンホルダーもスーツの傍に置かれていた。拘禁されているわけではなさそうだ。
そういえば一度目を覚ました時、女性が傍にいたな。
隣の部屋にいるのかと思い自分に繋がれた管を外し、足をベッドから出そうとしたところで部屋の明かりが点いた。
「おはようございます」
「っ……ベイ、リーズ」
扉の所にはベイリーズが毛布を抱えて立っており、僕を一度眺めると部屋へ入ってきた。
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9ねみ(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます!やっぱり書くのすっごく楽しいので、無理せず頑張ります! (6月28日 16時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - わぁ!久しぶりの更新すっごく嬉しいです☺️これからも頑張ってください…ただ無理はなさらずご自愛ください…!!! (6月27日 18時) (レス) @page40 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 天理さん» お久しぶりになってしまって本当に申し訳ございません。無理せず頑張ります!かならず完結させますので、ぜひ最後まで……! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 理那さん» ありがとうございます!本当にありがとうございます!待たせてしまって本当に申し訳ございません。頑張ります……! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 鹽(しお)さん» 何度も本当に申し訳ございません。待っていてくださるというお言葉が本当に温かいです……。必ず完結までは持っていきますので、ぜひ長い目でこれからもよろしくお願いします! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2020年6月30日 21時