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木村side
遊園地が停電し、周囲は混乱しだす。
目暮警部が公安の様子を見に行き、俺たちはその場で待機していると、ちょうど戻ってきた。
「どうやら公安の連中もこの状況を把握できておらんようだ」
「警部、公安と避難誘導をしましょう」
「でも木村君、彼らは……」
「木村の言う通りだ。協力を申し出よう。こんな時に、組織の違いでいがみ合ってはならん」
初め、佐藤さんと高木は渋った顔をしたが、目暮警部のその言葉で頷いた。
さすが目暮警部だ。言葉が重い。
警部が公安に話に行き、俺らは散らばって避難誘導をしていく。
「観覧車から離れた場所に移動してください! ゆっくり落ち着いて移動をお願いします。観覧車から離れてください!」
「この声……」
どこかで聞いたことのあるような気がして顔を上げるが、人だかりで声の主は見つけられなかった。
誰だっけ……。絶対どっかで聞いたことある……。
「観覧車から離れた場所にゆっくり移動してください!」
何度も繰り返されるその言葉を聞いて、どうして観覧車なのかと疑問に思った。
叫んでいる人は公安の誰かかもしれない。
理由は分からないが、記憶喪失の女性が観覧車に乗らされたことを考えるに、何か起こる可能性があるんだろう。
俺は佐藤さんと高木の元に近付いた。
「佐藤さん、高木! 来場客を観覧車から離れた場所に誘導させてください!」
「え、えぇ……。分かったけど、どうして?」
「多分公安の人が、観覧車から離れた場所に避難誘導をしてたんで、もしかしたらこれから何か……」
そう言いかけた時、上空からものすごい音がし、観覧車の中央に土煙が上がった。
マジかよ、マジで何か起こった……。でも一体何が……。
来場客が再び騒ぎはじめ、何が起きたのかを確認する間もなく俺達は声を上げ続けた。
時々上を見上げてみるも、暗くてやっぱり何があったのかは見えない。
聞き覚えのある声はいつの間にかしなくなっていたので、どこか移動したんだろう。
続けて必死に声を掛け続けていると、Aが観覧車へと入っていくのが見えた。
さっき観覧車からすごい落としたけど、まさかそこに行くつもりか?
本当ならついて行くべきじゃないんだろうが、俺はついよく考えもせず後を追ってしまった。
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芹奈(プロフ) - ちなみに今は純黒の悪夢の所です、陰が活躍してきてて、予想が当たっていればいいなあと思いながら読んでいます!これからも更新頑張ってください! (2021年5月28日 8時) (レス) id: 6feba31318 (このIDを非表示/違反報告)
芹奈(プロフ) - コメント失礼します。面白すぎて1から6まで一気読みしてきました!そこで私の勘違いかもしれないのですが、陰の人たちってもしかして....あの人たちでは?と思ってしまいました...wたくさんの憶測を立てて読めて本当に面白いです!頑張ってください! (2021年5月28日 8時) (レス) id: 6feba31318 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» ありがとうございます! 使わせていただきました! (2020年6月30日 21時) (レス) id: 2dcc01bb7f (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 9ねみさん» いーですよ!めっちゃ嬉しいです! (2020年6月30日 21時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» 夜空さん、Wikiの下り、続編のQ&Aで使ってもいいですか? (ネタがなくて続編出すのにてこずってるなんて言えない……) (2020年6月30日 20時) (レス) id: 2dcc01bb7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2020年6月5日 22時