ハートの女王 ページ8
いつの間にか森を抜けて、一本道を歩いていた。
しばらくすると目の前に立派なバラの木。白い花とペンキが滴る赤い花。
「現行犯!捕まえて首を切ります!!」
突然の声に振り返ると、黒と赤のドレスに身を包んだ千賀。
「おー、似合ってんじゃん」
女装もサイコパスなとこもよくキャラにあっていた。
千賀はまんざらでもなさそうで、そうかなぁ、なんてくるくる回って見せた。
「で、俺はここで何をすればいいの?どうやったら起きられる?」
これで全員に会った。ぶっちゃけもうお腹いっぱいで、早く夢から覚めたかった。
「お姫様を眠りから覚ますには王子様のキスが必要です」
千賀さんはすごくまじめな顔でおかしなことを言った。
「ミツが一番好きな人とキスすれば眼が覚めます。・・・選んで?」
女装した男が女装した男に何言ってんだ。
「・・・メンバーとキスとか、、、無理」
想像するだけで恥ずかしくなる。宮田とかたまにしてるけど、すげーなと感心していた。
「・・・誰ともキスしないなら、俺は女王としてミツを裁かなきゃいけない」
俯いて抑えたトーンで話す千賀に、なんとなく後ずさる。
ぱっと顔を上げ
「キスか、首を切られるか。大丈夫、優しくするから」
と、眼を見開いて迫ってきた。
いやいやマジで怖いんですけど!!!!
俺は本能に任せて反対方向に逃げ出した。
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作者名:桃しろくま | 作成日時:2021年7月10日 8時