帽子屋と三月うさぎ ページ4
身体が小さいからか落下時間がとても長く感じる。
てか、地面に落ちたら死ぬよな?夢とはいえ痛いのはやだなぁ。
でもそれで眼覚めるかも?
なんて考えてたらバサバサっと葉っぱを通過し、バシャンと液体に落ちた。
服はびちゃびちゃだがダメージはなかった。
何かこの水、酒臭い。
「お、空からキタミツ降ってきた」
声に顔を上げると、宮田と二階堂。
やっぱり二人ともでかい。
宮田は緑のシルクハットをかぶり、二階堂はうさぎの耳。
「宮田はともかく、二階堂似合ってねーぞ」
「うっさいわ。仕方ないでしょ」
「キタミツもかわいいよ?」
あ、俺女の格好してんだっけ?すっかり忘れてたわ。
周りを見ると広いテーブルの上で、辺りにはさきイカやら枝豆やらおつまみがおしゃれな皿に並べてあり、ティーカップには透明な液体。俺はそのカップの中にダイブしたようだ。
カップから出て、ぷるぷると水気を払っていると
「俺らお茶会してんの」
と優雅にティーカップに口を付ける宮田。
俺は自分の腕をぺろっと舐めた。・・・日本酒。
「酒盛りじゃねーか!!」
腹を抱えてケラケラ笑う二階堂。だいぶ酔いも回っているようだ。
身体は小さいままだがとりあえずここに危険はなさそうだとテーブルに腰を下ろした。
宮田が俺の入っていたカップを手に取る。俺がダイブしたせいで中身が結構零れてしまっていた。
「これってキタミツの成分入ってんのかな?ひれ酒的な感じで」
真顔でとんでもないこと言いだした。・・・ここも危険かもしれない。
「宮田さん、普通にキモイんだけど」
二階堂もドン引きした目で見ていた。
焦ったように冗談だと笑う宮田。
しょうもないことを言ってみんなで笑いあう。
格好がおかしいことを除けば、いつも通りの光景に俺は自然にくつろいでいた。
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作者名:桃しろくま | 作成日時:2021年7月10日 8時