え、やめてください ３【忍たま】

トリップ 髪 ページ13

その夜





『お邪魔します』





自分の布団を持って

兵助と勘右衛門さんの部屋を訪れた





兵助「ん、いらっしゃい」





兵助はもう布団を敷いていた

布団を奪われたかと思えば

兵助の布団と隙間なく敷かれ

何処ぞの新婚夫婦だよ…みたいな感じになっていた









『え、近近すぎでしょ』

兵助「近い方が護れるだろ」





そういやそうだった

三郎さんと雷蔵さんには

兵助から適当に理由つけて何とかしたらしい









『今更だけど、ごめん』





口からポロリと零れ落ちたように言葉が出てきた





兵助「そう思うんなら余り意地張ってないで

さっさと言えばいいんだよ、言えば」





思わず言いそうになったが

…やっぱり言えない





いつもより

ずっと低く結ばれている兵助の髪紐を解けば

猫っ毛がゆらりと揺れる





兵助「急にどうした」









そのまま黒髪に触れる

思いのほか良い触り心地と

指に絡まる猫っ毛が綺麗だった





『…前からこの猫っ毛を触りたいとは

思ってはいたんだけど

今なんだか急に触りたくなった』





ひとしきり満足したので結び直す









兵助「……お前、実はタカ丸さんだろ」





兵助はよくタカ丸さんにいじられるもんね





『…そうかも』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





目を開ければ

明るくなる少し前だった

そして何故か右手を兵助に握られているし





今思ったんだけど





三郎さんが私を離さなかったのも

兵助がこうして私の手を握っているのも

私が何かあった時

すぐ気づけるようにする為なのだろうか





…だったら最初から言えばいいのに

それなら私も納得して受け入れるっての





近くにある兵助の顔をまじまじと見る

整った顔、白い肌、長く美しい睫毛

相変わらず美人だわ









兵助「……さっきからジロジロと、何だよ」





見すぎたせいか起きてしまった





『相変わらず美人だなぁと』





寝起きだった為、声は少し掠れていた









兵助「……まだ寝た方がいいな」









実際、少し眠たかったので





目を閉じた

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