White melody __ Daiki.A (ページ10)

今日:11 hit、昨日:4 hit、合計:34,916 hit

10 ページ10

.

「ぁ、Aちゃん！もぉここに居たのか～みんな探してたよ」

メイドカフェ帰りの伊野尾ちゃんと山田が現れて、俺の機嫌はまた一気に悪くなった

考えてみれば、俺と同い年の彼女が伊野尾ちゃんと知り合いだという確率は高い

そのことを、すっかり忘れていた

「ね、Aちゃんの分の衣装もあるから着てみなよ～」

「絶対嫌だから。行かないし」

「えぇ～なんで～？」

そんな2人の会話を、部外者になった気分で眺める

さっきまで笑っていた彼女の笑顔は、もう封印されたみたいだ

「てかてか、なんで大ちゃんと一緒に居るの？」

「るっせぇな、色々あったんだよ」

「大ちゃんにこんな可愛い子勿体ないよ」

キラキラ笑顔で彼女に近づく山田を見て心に誓う

メイドカフェのこと、絶対愛菜にチクってやる

「ほらほら、帰ろ。邪魔しちゃ悪いから！さっさと帰るぞ」

強引に山田を彼女から引き離して、伊野尾ちゃんの腕を引く

「ぁ、だいきく…」

彼女が最後に、俺の名前を呼んだ気がした

けれど俺はそれに気づかずに、彼女に手を振るとその部屋を後にした

.