White melody __ Daiki.A (ページ37)

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俺が重荷、俺が居ない方がいい

大貴くんはそう言って、今まで見たことのないような顔をした

顔は引き攣っていて、きっと彼も悩んだのだということが分かった

私がピアノをやっているせいで、大貴くんを苦しめる

弱いのは彼じゃなくて、私なんだ

大貴くんが伝えたかったこと、私は何も分かっていなかった

大好きなのに、こんなに私を大切にしてくれるのに

私は彼に、何もできない

「コンクールの日も、私が大貴くんに届けられなかった想いを大貴くんはちゃんと分かってたんだ」

ピアノを通さなくたって、伝わる

それは、私じゃなくて、大貴くんが素直で優しいから

「大ちゃんはさー、Aちゃんが大好きなんだよ。自分のせいでAちゃんがピアノできなくなったり無理したりするのが嫌なんだよ」

大貴くんと、ピアノ

どちらも大事じゃ、ダメなのかな

「大ちゃんピュアじゃん？だから、辛いんだろうね」

「…離れた方がいいのかな」

「なんでよ！好き同士なら、離れる必要ないよ」

大ちゃんも分かってくれるって、そう言って伊野尾くんは笑った

「伊野尾くんはさ…プレッシャーとか、ない？ピアノ嫌いになる時、ない？」

「あるよ。超ある。周りからも期待されるし、結果残さなきゃいけないし、投げ出したくなるよ、毎日」

「でも、笑ってるの？」

「だって楽しくね？嫌いだし辛いけど、ピアノ楽しくね？」

辛いけど、楽しい

ピアノも、大貴くんも

私にとっては、唯一無二の宝物だから

「大貴くんこそ…才能の塊だよね」

「ほんとそれ、本人気づいてないけど」

2人して、笑い合う

辛いことばかりだ

楽しいことなんて、そうそうない

でも、辛いけど楽しいことは少しくらいならあるんじゃないのかな

私にも、大貴くんにも

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