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コンクールが終わって、ミニコンサートまでの間に彼女は俺らの席へとやって来た
「Aちゃんマジでよかった、俺の中ではNo. 1だった！」
なぜかテンションの高い山田に褒められて、彼女は笑ってみせたけれどどこか無理をしている気がした
「素敵だったよ、すごく」
「ありがとう…でも、伝えられなかった」
目を伏せて、今にも泣き出してしまいそうなくらい弱っている彼女
「どうした？」
「大貴くんに、伝えたいことがあったんだけど…全然、届けられなかった」
客席に居る真っ白な彼女はそれ相当に目立っていたので、俺は彼女をロビーに連れ出した
「俺…に、伝えたいことがあったの？」
俺の服の裾を握っていた彼女は、俺の胸におでこを付けて泣き出してしまった
分からない
分かってあげたいのに
声を殺して、きっと泣きたくなかったであろう彼女の本心を
わざわざ俺に会いに来てまで伝えたかったことを
俺は、分かってあげられなかった
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作者名：えつ | 作成日時：2018年10月30日 15時
