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聞くのが怖い。でも好奇心と興味には抗えなかった。
「それは、何で？」
「お前が10年かけてやっと落とせた女を1ヶ月足らずで落としたからに決まってんじゃん」
雷が落ちた時のような衝撃が走った。
「嘘だろ？」
「マジ。高3の時の話だし、ふっか卒業した後で吉沢と在籍被ってないから知らないと思うけどね」
俺と吉沢くんは学年自体は1つ違いだけど、在籍期間は全く被っていない。俺が卒業した後に吉沢くんが転校してきた。
それにしても、ガードが固くてなかなか落ちてくれなかった子が？ 本当に？
「付き合ってるんじゃないかって噂が絶えなかったんだよね、あいつら。頻繁に一緒に帰ってたし、弁当食ってる時もあったかなぁ。2人とも否定してたけど、確実に好き同士ではあった」
俺が卒業した後、照はAと距離ができたと嘆いていた。全く話さない訳じゃないけど、イケメンの転校生と仲良くなって俺の出番が来ない。
今年転校してきたばかりの同級生がどうして俺以上にAとの距離を縮めているのか。照はずっと疑問を抱いていた。
「で、でもさぁ、」
俺は少し焦る。
「所詮学生時代の恋愛だろ？ 今は俺がいるのよ？」
Aは俺が好き。何があっても深澤と一緒にいてくれることを誓ってくれた。
「それはそうだし、Aがふっかから離れるとも思わないよ？ でも世の中はこれから吉沢とAのコンビを推すだろうし、本人達もめちゃくちゃ仲良いから油断大敵でしょ。あと単純にふっかがしんどいと思う、2人の絡みで」
ぐうの音も出ない。相手役を知った俺は既に自信をなくしかけている。
「吉沢ってイケメンだけどすっごい暗い人なんだよね。正直ふっかとは真逆の人間でイケメンなのに人が寄り付くのを怖がってるとこがあった」
照は静かに語りかける。
「うちのクラス、明るい奴らばっかだから」
俺とラウは固唾を飲みながら耳を傾ける。
「でも新学期初日には吉沢もAも仲良くなってた。何がきっかけなのか分かってないんだけど、クラス中が吉沢を知る前からAは知ってたっぽい」
古い付き合いなのだろうか。でも吉沢くんとAは事務所は別だし、高校以前から知り合いだとは考えにくい。
「Aちゃんに聞き出せないの？」
ラウの疑問に照は首を横に振った。
「何回か聞いたけど話してくれないね……。秘密って」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年7月1日 21時
