Time goes by 5th (ページ15)

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撮影が終わってから俺は佐野くんを連れてふっかさんの家へ向かっていた。佐野くんがSnowManのライブに来てくれたり、ドラマのPRのためにバラエティに出演、共演したりで面識がある。より仲良くなってもらおうと見せかけて、見せしめが必要だろうと考えた。

ふっかさんには絶対にAさんを連れて来て、と頼んでいる。きっとAさんはふっかさんの家に直帰してくれるだろう、なんて考えていたら、張本人がエントランスで鍵を開けようとしていた。

「Aっ！」

すかさず勇斗が飛びかかる。Aさんの両肩をそこそこの強さで叩いた。その後ろ姿はどう見てもAさんだったけれど、もしそっくりさんだったらどうするつもりなんだろう。やられた女性は相当怖いだろうし、相手が佐野勇斗だったら卒倒するかもしれない。

『うわっ！勇斗だな！？』

早い。気づくのが早い。

「大正解」

振り返ったAさんは薄いココア色のレンズのサングラスをかけていた。ゆるっと大きめのロング丈黒Tシャツにダメージ加工のデニムパンツ、そしてサンダル。足の爪には夏らしく、赤とオレンジと黄色のペディキュアが施されている。

『私じゃなかったらマジで怖いからね？』

私でも怖かったわ、とAさんは苦笑いを零した。

「ごめんごめん。まさかここでAに会えるとは思っとらんかったからテンション上がった」

『方言出せば許されると思ってるでしょ？あざといわぁ』

分かった。十二分に分かった。佐野くんとAさんは確かに仲がいい。だから忘れないでほしい。2人は俺の存在を忘れて盛り上がり、マシンガントークを続けながら奥へ向かう。

「あの、Aさん……」

『あれ！？目黒くんいたの？』

俺が佐野くんを連れて来たんですよ。佐野くんが俺を連れて来たんじゃないです……
悲しくなったのは俺だけの秘密だ。2人に着いて行けなくて俺は考えることを放置しようか迷う。

「というか、Aってふっかさんと同じマンションなんだね？」

佐野くんがそう口にした時、Aさんは分かりやすく悪い顔をして佐野くんに分からないように俺にウインクをした。どうやらAさんは佐野くんにも付き合っていることを話していないらしい。

『うん、そうらしいよ。深澤さんも住んでるって噂は聞いたなぁ』

「えー、俺も引っ越したーい」