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『随分大切に扱ってるじゃないか』
壁に寄りかかりながら、神威は滑稽そうに高杉を見下ろす。そうしてクスりと奇妙な微笑みを浮かべ、高杉と彼女へ一歩距離を縮めた。
『オモチャじゃなかったの?』
『……いつ誰がンなこと言った』
『言ってないけど、そう思ったんだよ』
手の平を天井に向け、肩をすくめる。
高杉の傍にしゃがみ、眠りこけているAの頬へ指先を伸ばす。
しかし高杉にその手を弾かれ、神威は目を丸くした。
『……俺が何を愛でようが、お前にゃ関係ねェだろ』
『愛でる? シンスケが?』
ふっと吹き出し、笑い涙の滲む目をこする。
そうしてバカにしたように話を続けた。
『分かってるの? 触れる加減を』
しかし途端に真面目な表情に一変し、部屋の空気も変えてしまう。それは張り詰めており、ピリピリと互いの肌を刺激していく
その中へ響くよう、神威は声を落とした。
『壊れないように、優しく……
それを、アンタが知ってるとは思えない』
そう言っては立ち上がり、神威はこれ以上何も言わずに部屋を去った。
雪兎のように白くて脆く、溶けて消えてしまいそうなA。高杉は彼女を横目に映しては目を伏せる。
産まれながらのその容姿と、生きる中で育ったその性格が、高杉の凍え切った心を、無意識に溶かしていく。
彼女は雪なんかではなくて、野兎のような温かさを持っていたのだ。
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月城碧 - ハルさんすごいです!私も高杉が大好きなのですがもうキュンキュンしまくりです!最初は愛なんてなかった…ていう所からの展開が凄すぎる!もう一気に高杉をもっと好きになるとともにハルさんのファンになりました! (2018年12月4日 17時) (レス) id: de7306413f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» さっつんの言った通り早いですね! 本当に! 高杉への愛を詰めるだけ詰め込んでいる作品なので、終わりが早いと呆気なく思ってしまいます( ; ; ) 続編も頑張ります! 応援ありがとう! これからもよろしくね!( ´ ∀`) (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - エラさん» おはようございます! それはそれは、どうもありがとうございます!! 両方好きだなんてとっても嬉しいです( ´ ∀`) 続篇、本日出しますのでどうかお楽しみに!! 閲覧とコメントをありがとうございました! (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
銀皐月(プロフ) - ハルー、恋は白い薔薇のようで完結おめでとう!
早いね、もう3弾いっちゃうよ。高杉好きだからこそ、泣くよね。愛がない結婚からの愛。泣くね。号泣だ。
黄色い薔薇も頑張ってね! (2017年8月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 5de9376b0f (このIDを非表示/違反報告)
エラ(プロフ) - こんにちは!いつも楽しませてもらってます!サドリーマンも好きですが、薔薇シリーズも大好きです!「別れは、黄色い薔薇のように」も楽しみにしています♪頑張ってください♪ (2017年8月10日 14時) (レス) id: ad6183f351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月23日 10時