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目が覚めても、彼はそこにいてくれた。
しかも眠った時と同じ体勢で、辛くはなかったのだろうか。
私はゆっくりと晋助さんの方へ顔を上げ、まだ朧げな目で彼を見つめる。
その時、私に押し迫ってくるのは、自分の未来のことだった。彼よりもっと早くに、死んでしまう。
この事実が、どうしても消えない。
今更になって自分の身体を恨んだ。
でも、それ以上に自分が悲しいと思えるのは……
『私が死んでも、残るのは骨と灰だけなんですね』
彼の中で生き続けられるとは思ってない。そんな夢みたいなこと、願ってはいけないのである。
だからせめて、私の生きた証を残せたら、彼は忘れずにいてくれるのかもしれなかった。
『形あるものを残したいか?』
そう言って、晋助さんは私を一つ目で見つめる。
『目に見えなくても、残るものだってあらァ』
それなら私は、昨日見たあの花火みたいに散れたら……晋助さんの中に、残れるのだろうか。
彼が綺麗だと言ってくれた花火のように大きく儚く、手を伸ばしても触れられない……そんな風に生きて、死んだとしたら、晋助さんは私を忘れずにいてくれるのだろうか。
きっと綺麗じゃないと、彼の心の中にはいられない。
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月城碧 - ハルさんすごいです!私も高杉が大好きなのですがもうキュンキュンしまくりです!最初は愛なんてなかった…ていう所からの展開が凄すぎる!もう一気に高杉をもっと好きになるとともにハルさんのファンになりました! (2018年12月4日 17時) (レス) id: de7306413f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» さっつんの言った通り早いですね! 本当に! 高杉への愛を詰めるだけ詰め込んでいる作品なので、終わりが早いと呆気なく思ってしまいます( ; ; ) 続編も頑張ります! 応援ありがとう! これからもよろしくね!( ´ ∀`) (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - エラさん» おはようございます! それはそれは、どうもありがとうございます!! 両方好きだなんてとっても嬉しいです( ´ ∀`) 続篇、本日出しますのでどうかお楽しみに!! 閲覧とコメントをありがとうございました! (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
銀皐月(プロフ) - ハルー、恋は白い薔薇のようで完結おめでとう!
早いね、もう3弾いっちゃうよ。高杉好きだからこそ、泣くよね。愛がない結婚からの愛。泣くね。号泣だ。
黄色い薔薇も頑張ってね! (2017年8月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 5de9376b0f (このIDを非表示/違反報告)
エラ(プロフ) - こんにちは!いつも楽しませてもらってます!サドリーマンも好きですが、薔薇シリーズも大好きです!「別れは、黄色い薔薇のように」も楽しみにしています♪頑張ってください♪ (2017年8月10日 14時) (レス) id: ad6183f351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月23日 10時