慣れない呼び名 ページ7
翌日の朝。
目尻に薄いクマを携えたAは、
小さな欠伸を溢しながら強く瞬きをすると、勢いよくベッドから立ち上がった。
時間はまだ6時前で。訓練が始まるにはまだ時間がある。
『…ふぅ』
12月になり、冷たくなった水道の水で思い切り顔を洗うと、
ほとんど眠れていないぼやけたような身体もシャキッとするもので。
パシリと両頬を叩いてもう一度強く瞬きをすると、
Aはある場所へと向かった。
『おはようございます』
「…ずいぶん早いな。今日は当番じゃない…はずだな」
『訓練前のお忙しい中すみません。あの…』
“今日の午後、訓練が終わった後でご相談したいことがあるのですが”
Aは、単刀直入にそう切り出した。
見据える相手は、――永倉教官だ。
教官室でデスクに座る鬼塚をはじめとする教官は、
ずいぶんと朝早い生徒の訪問に、少し訝しげな視線を向けていた。
貫禄がある、とまでは言えない年齢に見える永倉は、
冷静かつ鋭く落ち着いた雰囲気を持つ人物で。
Aは、もう亡くなった自分の父親よりも少し若いだろう彼を真剣に見つめ、
続く言葉を待っていた。
そうして、
何か尋ねることなく、軽く腕を組んだまま、
「…分かった。片付けが終わった後、17時に道場に来なさい」
と、答えた永倉。
『ありがとうございます』
Aは、姿勢良くキリッとお辞儀をしてお礼を述べると、
静かに教官室を去っていった。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また，体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが，引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (
レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます！これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています！ (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2022年8月4日 18時
