耳をつんざく警報音_9 ページ42
『優也…!!』
鳴り響く警報音。
病室から飛び出してきた見知らぬ男。
廊下の奥へと走っていく男を睨みつけ、病室へかけ込んだA。
病室の中には、ベッドに上半身を起こした優也の姿があって。
怪我をした様子のない彼に安堵しつつ、Aはベッドに駆け寄った。
『何があったの!?この音…。怪我は...?』
「し、知らない男が急に入ってきて…」
険しい顔で振り返ったAは、
「ゼロ!この奥だ!」
開いたままのドアの外から叫ぶような松田の声を聞きながら、
目を鋭く細めて一瞬何かを考える素振りをすると、
180度身体の向きを変えて病室の窓に近寄った。
「え、ね、姉ちゃん…?」
「おい!大丈夫か!?」
恐怖からか肩を上下させながら、Aを見つめて戸惑う優也は、
焦った様子で見知らぬ男が入ってきたことにさらに戸惑った。
「だ、大丈夫ですか?何が──」
「桜庭さん!?」
続けて病室に現れる看護師たち。
そんな声に反応することなく、Aがガラリとおもむろに窓を開けると、
ひゅっと肌を刺す風が病室に吹き抜けた。
安全上、当然ながら簡単に乗り越えられるような高さじゃないが、
枠沿いに足をひっかければそれが叶わないわけでもない。
Aはそのまま、
どこか慣れた様子で、下段の枠に足をかけながら頭上近くほどまで乗り越え、窓から身を乗り出した。
「え、さ、桜庭さん…!?」
「は…?ね、姉ちゃん、何やってんだよ…!」
焦った看護師たちの声の中、
慌てた様子の優也がベッドから降りようとするも、
何かに気づいた様子の松田の長い体躯がその横を横切った。
「…アンタじゃ無理だろーが」
焦りと苛立ちを含んだような低音で呟く松田。
病室の窓はさほど大きい訳じゃない。
ただ、枠を乗り越えれば、人1人分ほどの余裕はある。
『え…?』
「じっとしてろ」
松田はいとも簡単にそれを乗り越えると、
身を乗り出したまま少し肩を震わせて固まっているAを背中から抱きしめ、
そのまま、階下へダイブした。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時