検索窓
今日:1 hit、昨日:52 hit、合計:30,832 hit

クリスマスのざわめきの中で_2 ページ21

Aがこんな場所で鋭く殺気だった表情を浮かべている理由は、
1時間ほど前に遡る。






『じゃあ、また来るからね』


コソッと小さく声をかけた相手は、ベッドの上で目を閉じる優也だ。


今日は休日で、朝から病室に来ていたA。
昨日の検査でも特に問題はなく、優也は順調に回復してきていた。

ただ、退院する上で体力的な面は障害になる訳で、
病院内や敷地内の庭などを散歩したりと出来るだけ身体を動かすようにしている優也だが、
まだ短時間で疲れてしまう状態なのだ。


今日も、昼食後にしばらく散歩をした後でやはり疲れてしまった様子で。
ベッドに横たわり、数分前に静かな寝息を溢し始めた弟に少し心配そうな笑みを向けると、
Aは病室を出て行った。







(試験の内容、少し確認しておいた方が…良いよね)

今日から2日間の休日。
休日明けは講義室や道場の清掃を行い、すぐに冬休み期間に入る警察学校。

そして、年が明けると試験が行われるのだ。
卒業前の、学力審査。
その後は、技能試験も実施される。


Aとしては、成績など特別重要視はしていない訳だが、
警察官になると決めた以上、適当にこなそうと思っている訳でもなく。



弟が眠りについている間、一旦警察学校へ戻ろうと歩を進めて数分。


警察学校の塀が見えてきたあたりで、ピタリとその足が止まった。



「あ…」

『…』


向かいから歩いてきたのは、斉木だった。


これまで、ずいぶんと腹立たしい言葉をかけられたことは忘れたはずもなく。
彼にポジティブな印象があるはずもなくて。

ただ、ここしばらくは、顔を合わせることがあっても、
彼が何かを言ってくることは無くなっていた。


斉木は少し不快そうに、居心地が悪そうに、
眉を寄せて視線を軽く逸らしているだけで、時折小さな舌打ちが聞こえたこともあった気もしていたが、
つっかかってくるようなことは、無くなっていたのだ。


合同実習でAが突然倒れた日あたりから斉木の態度は少し変わっていたのだが、
あれこれと考えを巡らせ続けていたAは今し方改めて気づいたかのように、
やはりどうにも不快そうに目を逸らして足早に横を過ぎ去っていった斉木の背中を、
ぼんやりと立ち止まって眺めていた。

クリスマスのざわめきの中で_3→←クリスマスのざわめきの中で



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
125人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。