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理由_7 ページ7

「まぁ、そんな話をしたところで、
もうキミには良く分からないのかもしれないけど」

「思い出せないのは、そういうことだと…?」

「それは、今はちょっと違うかもしれないけどね」

「え?」

「輪廻転生から外れたとしても、
少しずつ痕跡が消えるといっても、
”存在する”限りは、完全には消えないはずだから」


ふっと、目蓋をわずかに伏せた礼央。
眉を寄せたままの降谷は、もう、彼が誰だとかそういうことはどうでも良くて、
頭の隅の奇妙な感覚に急かされるように、その言葉の意味を探るように鋭い視線を向けた。


「…はずだったのに、残念。
なんであんなことしちゃったんだろうね。ナマエは」

「どういう意味だ」

「消えたんだよ」

「…消えた?」

「文字通り、消えた。ナマエは。
…だから、同じ存在だったはずの僕も、もう...良く分からなくなり始めてる」

「...」

「仕事を教えたのは僕だけど、
魂の行先をどうこうできるほどの権限があるわけじゃない。
そもそも手伝い程度の期間にそんな力はないはずだけど、
多くの魂を刈り続けてると、まぁ、多少の力は身についてくるわけだよ。
でも、そんなことをすれば――、ってことくらい、
もう言われなくても分かってたはずなんだけどね」



“やらなければいけないことがあるって――”

“死ぬわけにはいかないって――”


声が、聞こえた気がした。
ぼんやりとしたその声を、
降谷は、今は、はっきりと覚えている気がしていた。

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white12(プロフ) - 桜咲さん» 温かいコメント、ありがとうございます!ご心配・ご迷惑おかけしてしまい申し訳ありません...。お楽しみ頂けていたら嬉しい限りです。本作品をお読み頂き、本当にありがとうございました!次回作は全くの未定ですが、その際はお付き合い頂けたら嬉しいです。 (2022年2月12日 19時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - reさん» お読み頂きありがとうございます!随分放置してしまっていたのに、そんな風に言って頂けて本当に嬉しいです。素敵な作品を沢山書かれているreさんに嬉しいコメントを頂いて恐れ多い限りですが、もしまた執筆することがありましたらお手に取って頂けたら嬉しいです。 (2022年2月11日 10時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
桜咲 - 完結おめでとうございます! 更新止まっていて心配していました。体調大丈夫でしょうか...。凄く素敵な作品をありがとうございます!景色もそうですが、心理描写が凄く綺麗で引き込まれました。新作が出たらまた読ませて頂きます!! (2022年2月10日 21時) (レス) id: 8613f618c9 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 更新、本当に嬉しいです。そして完結おめでとうございます!文章がとても綺麗で繊細で、大好きです。切ないけれど胸が暖かくなるようなお話で、今回もとても素敵でした。寒い日が続きますが、ご自愛ください。新しい作品も楽しみにしています。 (2022年2月10日 13時) (レス) @page21 id: f0490f49ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2021年10月13日 23時

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