Words (4)【名探偵コナン】

オレンジに染まる曇り空_12 ページ21

『私…、ショックだったんです』

「ショックだった？」

『安室さんが、…警察の人と繋がりがあるって知って。
…偽名を使っているんだって、分かって。』

「…」

向かい合った割に、軽く視線をそらすA。


『探偵さんなんだから、お仕事で警察と関わっているのも、
偽名を使っているっていうのも、…当たり前のことなんでしょうけど。
何故か、…その、ショックで』

「…」

『でも、そんな風に思ってしまった自分が、一番ショックで』

「…え？」


眉を大きく歪め、Aがさらに俯き始めたことで、
安室は無意識にその肩に手を伸ばしかけた。



『私、安室さんには本当に色々と助けて貰って…、
この前の事故でも…』

ふっと顔を上げて、
もう一度安室のこめかみを見つめるA。


『書店でも、PCを直して貰ったり、
…脚立から落ちかけた時も』

「…」

『そういうこと、だけじゃなくて。
本を眺めている安室さんのこと、ふと思い出したり、
安室さんと話したこととか、
…安室さんが言ってくれた言葉とか、急に頭に浮かんで、
思い出して、嬉しい…というか、暖かい気持ちに、なってたのに。
…前にもこうやって、ここでお話できたこと、本当に、嬉しかったのに』


そう言って、自嘲気味に眉を寄せたA。


『私、知らないなんて言っておきながら、
知るつもりはないなんて言っておきながら、
やっぱり、警察…とか、偽名…とか、そういうことにはネガティブな気持ちがあるみたいで』

「それは――」


普通の人間なら当然だ。
彼女の、いや、両親や祖父母のことを考えれば、それも当然で。
安室はどう口を開けばいいのか分からずにいた。

いや、口を開けなかったのはそれだけでは、なかった。

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