4869 (4)【名探偵コナン】

黒の言葉と本当の名前_3 ページ7

そして――、


翌日の午後。



パーカーのフードを被った格好の景光は、
両手を手錠で拘束された状態で、警官に連れられ、
アクリル板で仕切られた面会室へ足を踏み入れた。


(…可能性があるとすれば、
残党…、組織と何らかの繋がりがあった人物が外部から接触しているか、
…警察内部――)


情報が漏洩しているなど考えたくもないことだが、そんなことを言っている場合ではない。
例え内部の人間の仕業であっても、
それを非情に探っていくのは公安の十八番だ。


チラリと担当警官の表情を確認しつつ、
俯き加減で椅子に座った”スコッチ”。

その直後、
金属音とともに、向かいのドアからオレンジ色の髪を携えた1人の人物が現れた。


キャンティだ。


少し痩せたような印象だが、
相変わらず睨みつけるような目つきで、軽く首を傾け、アクリル板越しにスコッチを見据えている。


「…へぇ。まさか本当に来るとは思わなかったよ」

「…」

「久しぶりだね。…スコッチ。」


乱暴に椅子に腰を下ろしたキャンティの射殺すような視線と、冷たいトーンで零された言葉。
スコッチは生気を失ったような小さな声で、


「…俺に何か用か」


と呟いた。


「俺がここに来れば、知っていることを話す…と言っていたそうだが、
…俺に何か言いたいことが…あったんだろ」


“長期間拘留され疲れを滲ませた”、というべき表情でキャンティに問う”スコッチ”。


「さすがはNOCだね」

「…」

「相当の演技力だ」

「…何のことだ」


軽く頭を上げて、キャンティを睨みつけるスコッチ。
体格差は歴然。
互いに椅子に座っているとはいえ、彼が彼女を見下ろしているような状況だ。



「アタイが、…ジンたちが捕まった日。
よく考えてみれば、アンタはアジトにいなかった。」

「…いつもアジトにいる訳じゃないだろ」

「米花ホテルでの任務の時、
…アンタ、どこかに電話してただろ」

「…それは前にも話しただろ。
バーボンが他の任務のことで――」

「NOCだったアンタとアタイ、…何が違うんだい…？」


蔑むように睨んでくるキャンティに、
景光は表情を変えず、威圧感を纏った目で睨み返した。
それは、組織のメンバー。
コードネームを持った長身のスナイパー、"スコッチ"のそれだった。

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