SNOW DROP II (7)【名探偵コナン/警察学校組】

面倒くさい男_2 ページ33

『貴方が倒れたら困る人間が沢山いるでしょ。
とりあえず、もう少しだけ休んでいた方が良いんじゃないの？』

「…確認したいことがあるんじゃないのか」

『…渡したもの、無駄にしないでね』

「…言われなくても分かってる」


不満げに、
しかし、そっちの意図くらい分かってる、というように、
Aに挑発的に視線を返す降谷。


『それと』

「…」

『どうして来たのよ。
一課の…、二課の人間に見られたらマズイんでしょ。
貴方は、議員会館にまで顔を出さないと思ってた。』

「そんなヘマはしないさ。それに――」

『安室透として、探偵業で議員会館にいた、とでも言えば良いからって？』

「…分かってるんじゃないか」

『出来るだけ単独行動をしていれば、確かに怪しまれないでしょうね』


刑事、それも、公安の刑事と一緒にいるところを見られれば、
何らかの形で怪しまれることは間違いない。
しかし、1人のところを見られたところで、いくらでも言い訳は出来るのだ。
それが、今の”彼”だ。


『安室…透、か』

「…風見と何か話したのか」

『…風見？』

「さっきの刑事だ。五十嵐の事務所で君と顔を合わせた刑事のことだ。
さっき、”あの人”と、君が言っていたのは、彼のことだろう」

『あぁ。…風見、っていうのね。彼。
…別に。PCを覗き見されそうになったくらいかしら』

“あと、リーク情報がどうとか言ってたけど。”

その言葉はとりあえず口にはしなかったA。
叱責されるのは目に見えている。あの刑事が。
一応、彼女なりに配慮したということだろうか。





「…やはり、ハッキングに関しては、そっちが一枚上手 (うわて)だったな。」

『え？』

「貰った情報は無駄にはしないさ。」


東堂グループ本社や議員会館のセキュリティ制限を容易にくぐりぬけ、
抽出された彼らのメインPCのデータ。
そこから、3年前までの情報が、綺麗に復元されていた。
グレーなやり方で公安が手に入れていたデータと共通していたものもあったが、
未だ公安ではパスを解除しきれていないファイルたち。

そして、家宅捜索に入る前に、
何らかの形で処分される恐れのあったそれらの情報。

Aから貰ったUSBに綺麗に収められていたその情報に、
降谷は素直に賞賛と礼を述べた。

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