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面倒くさい男 ページ32

そして、それから30分ほどが経った。


『…これで、痕跡は…』


念の為、議員会館内部の防犯カメラを再度確認し、
掌握したセキュリティシステムに侵入した痕跡を消したA。


そして、
目を閉じ、静かに呼吸を繰り返す降谷を見つめ、
小さなため息を零した。


『…戻ってくると、良いけど』


何とも、不謹慎なセリフだが、
もちろん、目の前の彼のことを言っているのではない。



データ、のことだ。



しかし、そう呟くも、
それは大事なことなのには変わりはないのだが、
それでも、今、Aの頭にあるのは、
当然、目の前の人物のことで。

『…』

零、とは言わないA。


何故なら、

彼が横たわっているベッド横のプレートに書かれているのは、



“安室透”



という名前なのだから。


その名前を見て、
Aが切なげに目を細めた時、



「…ん…」

『…!』


ベッドで横たわっていた、その人物が、
ゆっくりと、目を開けた。


『…れ…、あ、安室さん?』

「…ん…、あぁ…Aか…」


ローテーブルにおいたPCから手を離し、
ゆっくり上半身を起こす降谷の背を支えるように手を伸ばすA。


『…大丈夫?』

「…あぁ。問題ない」

『…』

「…どのくらい経ったんだ」


包帯が巻かれたままの額(ひたい)を押さえ、
降谷は、まだぼんやりした目でAに問いかけた。


『1時間は経ってないわよ』

「…」


その言葉に、
当然のようにベッドを降りようとする降谷を、
制止するA。


「悪いが、呑気に寝てる暇はないんだ」

『あの人が言ってたわ。少し、休んでいてくださいって』

「そんな状況じゃないことくらい、君だって――」

『過労と睡眠不足』

「…」

『貴方が倒れた原因よ。…頭の怪我も、少し影響してるかもしれない、とは言われたけど…。
怪我は深くはないから、…心配…いらないだろうって。』

「…寝てる場合じゃないんだ」


怪我については心配そうに少し言い淀むA。
そして、掴まれた腕を外し、彼女に反論する降谷だが、


『ちょっと、確認したいことがあるんだけど』


というAの言葉に、
しぶしぶベッドに留まった。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 開設しましたらお知らせしますね!ぜひ、高さんが描いて下さった夢主ちゃんを見てみたいです! (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 高さん» コメントありがとうございます。な...なんと、そんな嬉しいことがあって良いのでしょうか...。本作を読んで頂けているだけでも嬉しいのに、イラストを描いて下さったなんて本当に嬉しいです!実はtwitterはやっていないのですが、この機に...とも考えておりまして。 (2020年2月16日 12時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 夢主さんのイラスト勝手に書かせていただきました笑作者様見ていただきたいんですけどツイッターはやってないですか? (2020年2月16日 12時) (レス) id: 9e0ac4ae00 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - fujizakuraさん» 本作をお読みいただきありがとうございます。公開が遅くなり申し訳ありません。(8)は既に公開済みですので、引き続きお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月31日 14時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
fujizakura(プロフ) - 【8】がパスワードがかかっていて見れません (2020年1月30日 17時) (レス) id: 21ccb35895 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2020年1月20日 8時

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