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Liar_9 ページ40

「…」

『…私、…あの…』


唇に手を当て、あからさまに動揺するAだが、
もう一度、クイッと顎を持ち上げられ、添えていた手が反射的に離れた。


『…あ…』

「月島は、やっぱり…嘘つきだよな」

『え…』


挑発的な、見透かしたようなその目に、
Aは視線を外せなくなった。


「…そんな風に、顔赤くして、
物欲しそうな目ぇして、…今更、やっぱり好きじゃねぇ、とか言うなよ?」

『…こ、これは、お酒…のせい…』

「…カクテル2杯なんかで酔わないことくらい、とっくに知ってる」


逸らせないその視線にどんどん心拍数が上がり、
悩ましげに眉をひそめるA。

目の前の男に全てを許してしまいそうになりそうな、
苦しいような暖かいような、複雑な感情が湧き上がり、Aはただ、口を閉ざした。


「ま、…どうしても嘘つきてぇなら、
…俺のせいにすれば良いんじゃねぇの?」

『…え…』

「…俺にこうやって、無理やり迫られて、
ドキドキしてんだって」

『…』


あまりにも分かりやすい口説き文句。
その軽い雰囲気に、Aは顎に手を添えられたままジロリと萩原を見上げたのだが、
頬を紅潮させた悩ましげな顔では何の説得力もない。



“ん?”
と、またも挑発的に首を小さく傾げる萩原に、
視線を逸らそうとするAだが、顎に手が添えられたままでそれは叶わない。


いや、もう、捕らえられてしまっているのかもしれない。
じっと、射るように見つめてくるこの男から、目が離せないのは。
その瞳が、どこか懇願するような優しい色を携えていると思ってしまうのは。



『…軽い男は、…苦手だって、言った…でしょ』


口にしなければ良かったのだろうか。
Aもまた、自分の気持ちに気づいてしまった事。

でも、もう嘘はつきたくないと、そう思ったのだ。
それは、やはり不本意にも、萩原のせいであることも事実で。

“認めるしかないだろ”

あの日の萩原の声に、どこか責められているような気がして。


だから、自然と口を開いてしまった。

萩原のことが好きなのかもしれない、と、
そう、告げるつもりで。


(…やっぱり…遊び…なのかも…)


そう思うも、
度々見せられた真剣な表情に心を許してしまったのは、
やはり間違いだったのだろうか。


Aは諦めたように、
しかし、確実にその頬を紅潮させながら、
再び重ねられたその唇を、深くなる口づけを、
静かに目を閉じて受け入れたのだった。

鼓動→←Liar_8



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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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