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Liar_8 ページ39

「…さぁな」

『…』

ゆっくり唇を離した萩原は、
獲物を狩るように挑発的に口角を上げていたが、
その目はどこか切なそうで、Aはそれ以上の言葉を零せなかった。

「まぁ…でも、
月島に言ったことは、嘘じゃねぇけどな」

『…え…』

「…あんな風に、慣れねぇこと言ったの、初めてっつーか…。
やっぱ、お前相手だと、調子狂うっつーか…。
…急にこんな風に好きだとか言ってくるし」


ニヤリと笑う萩原。
その目からは切ない色は消えていた。
お前、などと言ってくる萩原に、本来のAなら反論するところだが、
当然そんな思考は持ち合わせていない。

『…好きだなんて…、言ってない』

「でも、…違うのか?って聞いたら、
返事はNoだっただろ」

『…』

まるで、押し問答のような会話に、
Aは悩ましげに眉をひそめ、萩原を見つめた。
やはり素直になれないのは、
まだ相変わらずな様子だ。


「…下心だけ、じゃねぇから」

『…え…』

「そりゃ、一応健全な男だから、
…そういうの全くねぇって言ったら嘘だけどな。
でも、そんなんじゃ、ねぇよ。
月島とこうやって、…歩いて帰ってんのは」

『…』


最低、と言って、膝蹴りでもしそうな場面だが、
今のAに、そんな余裕は一切なく、
わずかに動揺しながら萩原を見つめている。

そして、背中に回されていた手が、
そっと顎に添えられ、ピクリと肩を震わせた。


『…っ…』


萩原から落とされたキスは、
ゆっくり角度を変えながら、少しずつ深くなっていく。
Aは、上がっていく心拍数に、
今の状況に、頭が混乱したように、
とっさに、目の前の身体をぐいっと押しのけた。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - なーこさん» またまた嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。どうにも回りくどく書いてしまう癖があるのですが、そう言って頂けて本当に嬉しいです。由紀さんの登場はRain執筆中からの計画でした (笑) 次回作は未定ですが、今後もご愛読頂けましたら幸いです。 (2019年12月20日 16時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*会社の為、隠忍自重する夢主が時折見せる弱さや脆さに萩原さんの言葉が染みて溢れ出すのを繊細に描いていたのが読んでいてじわっときました...。そして由紀ちゃんの登場は嬉しすぎるサプライズです!(笑)また次の作品も楽しみにしてます*。 (2019年12月20日 0時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月12日 17時

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