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バレンタイン_3 ページ6

「お待たせしました!」

由紀の元気な声とともに、目の前に並べられたハート形のスコーンに、
嬉しそうに小さく目を見開くA。


ブラウニーのような色のハート柄のスコーンに、
Café Rainと書かれたホワイトチョコのプレートが添えられている。
その間には、少量のホイップクリーム。


(…うわぁ。可愛い。)


写真通りの見た目だが、
実物を見るとやはり笑みが深くなるもので。


「ごゆっくりどうぞ!」

由紀の元気な声とともに、
カウンター内の女性店員、 菜々がニコリと笑った。


(…確か、” 菜々さん”...。)


以前、由紀から”Mist”ではないか、と話しかけられた際、
言葉を交わした彼女は、とても感じの良い人物で。
接客業だから当然なのかもしれないけど、などと思ってしまう自分とは大違いだな、
と自嘲するA。

そして、
目の前の美味しそうに湯気を漂わせるコーヒーカップに口をつけようとして、
ふと、気づいたように、静かにスマホで写真を撮った。




チリン…

何度か鈴の音が鳴り、
テーブル席の客が店を出て行くのを横目で見ながら、
Aは、スコーンを堪能していた。


(…ショコラ味のスコーン..、
少しほろ苦くて…美味しい…)


見た目だけじゃない。
その味もまた、笑みを連れてくるもので。

とても感じの良い店員、
そして、店の雰囲気も合わせて、
ますますこの店が気に入ったAだったが、
ふと、緩んでいた口元を引き締めた。


「あ… 菜々ちゃん。コーヒー貰える?」


何やら聞いたことのある声が聞こえたからだ。
姿勢を崩さないまま、チラリと視線だけ入口の方へ向けると、
そこには、

萩原の姿が見えた。


( 菜々ちゃん、ね…)


以前、このカウンター席で彼女と談笑していた姿を思い出し、
やはりずいぶん軽い男だと、眉をひそめたA。
そして、さりげなく顔を店の奥側に向けながら、
気にしないように、注文の品に再び口をつけ始めた。

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設定タグ:名探偵コナン , 萩原研二 , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月5日 19時

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