Liar (2)【名探偵コナン】 (ページ1)

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3度目のページ1

2日後。

陽も落ちかけ、オレンジ色の光が差し込むデスクで、
Aは静かに息を吐いた。
しかし、それはあまり重たいものではなかった。

午前中に届いた北川からのメール。
もちろん、仕事用のメールアドレスに、だ。

“こちらが送った情報は変更なしで、
B案のデザインをもう少しだけ背景の色を――、
それと――”

昨日提示した案のうち、
1つを選んだ修正案の依頼。
今度は、かなり的確に示されているように見えた。

メールのCc:には、
Corsoの部長と、
先方の人間と思われるいくつかのアドレスが入っていた。

納期も近い。
さすがに、私情でウダウダ言ってられなくなったのか。
あるいは、昨日のAの態度がそれなりに効果をもたらしたのか。

部長からも何か言われることもなかった今日。
昨日の対応で、クレームのような連絡も無かったのだろう。

相変わらず面倒な案件だが、
Aは、珍しくニヤリ、と笑みを浮かべた。

「あの、…月島さん。これ、この間相談したB社の案件なんですけど、
ここ…､確認して貰えませんか？」

「月島さん…、あの、来週のプレゼン内容で――」

急に人当たりが悪くなった訳ではないが、
終始笑顔で話しかけやすかったAが、
ここ最近、時折苛立った様子を見せたり、こうして不敵に笑ったり、
何やら雰囲気が変わったその様子に…、営業の部下たちが、少しだけ戸惑うような様子を見せていた。

――――

(…あのBarに行くのもね…また萩原って人に会うと面倒くさそうだし…)

数時間後。
仕事を終え緑台駅を降りたAは、
緑台のBarの方向へ足を向けようとして、
あからさまに失礼なことを思い浮かべ、ふと立ち止まった。

そして、自宅方向への道を歩き出したAだったが、
何やら騒がしいことに眉をひそめた。
周囲を見渡すと、少し離れたところに見える赤い光。

それは、1ヶ月半ほど前に見た光景とよく似ていた。

(…まさか、また何かあったの…？)

時計を見ると、21時を回ったところだ。
時間帯も似ている。

気になってそちらの方向へ足を向けると、
そこにはやはりパトカーが2台止まっていた。
そして誘導されながら避難する付近の住民。