Rain_3 ページ45
『カフェを始めたいって思ってから、
少しだけですけどコーヒー豆の焙煎に手をつけるようになって、
その勉強をしているときも、豆の音に混じって雨の音が聞こえるのが、
何とも落ち着く空間で。
今は店の奥でやってるんですけど、こんな雨の日に焙煎するのって、
けっこう落ち着くというか、楽しいんです。そういう時間が大好きで。
それで、店をオープンする前。
焙煎の練習をしているときに思いついて…。単純ですよね』
「へぇ…」
『…お待たせしました。』
コトンと、松田の前にコーヒーカップを置いたAは、
ニコリと微笑んだ。
『でも…、雨が好きな理由、もう1つ増えました』
「…ん？」
“サンキュ”、とお礼を告げた後、
カップに口をつけた松田が、見上げるようにしてAの目を見つめた。
『閉店後にこうやって...陣平と会える日、だから。』
「…っ」
ふわりと笑ったAに、
その言葉に、
一瞬口に含んだコーヒーを零しそうになった松田だが、
何とか飲み込むと、口元を覆って咳き込んだ。
その言葉も、だが、
意識しているのか無意識なのか、
"松田さん"、ではなく、時折こうしてAの口から自身の名を呼ばれることに、
未だにドキリとしてしまうのだ。
『大丈夫ですか…！？』
「…ケホッ…A、お前なぁ…変なこと言うな」
『…でも、ここに来てくれる日は何故かいつも雨なので…、
確か、家に来た日も。
だから、雨の日は楽しみっていうか…』
「あのなぁ…」
ため息とともに、松田にぐいっと腕を引っ張られ、
重心がぐらついたと思った瞬間――
『…っ…』
感じる温度。
そして――、
『…んっ…ぁっ…』
コーヒーの味だ。
私が淹れたコーヒーの、味。
松田の舌から与えられるその味に、
その感覚に、だんだん頭が惚けてくる。
目を閉じて、彼のそれを追いかけるAは、
彼の体から感じるタバコの匂いに、さらに鼓動を速くした。
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white12(プロフ) - なゆさん» 嬉しいコメントありがとうございます。申し訳ありませんが、あとがきに書いたように続編の執筆予定はありません。各キャラ目線のスピンオフ...楽しそうですね。確約出来ないのが心苦しいですが、執筆出来た際にはまたお読みいただけたら嬉しいです！ (2019年11月23日 15時) (
レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！初めてコメントします。いきなりですが、Rainの続編とか各キャラ目線のお話とか待ってます。 (2019年11月22日 23時) (レス) id: 69230dd273 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - なーこさん» 最後までお読み頂き、嬉しいコメントまで頂き本当にありがとうございます。由紀ちゃんがお好きですか☆作者の中では"ちゃん"呼びの、同じく愛着のある人物です。嬉しいコメントを頂けて、涙腺緩みつつあります。宜しければ今後ともお付き合い頂けたら嬉しいです。 (2019年11月21日 20時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - 完結おめでとうございます´`*カフェラテのような苦味と甘さが詰まってる内容で凄く面白かったです。個人的には由紀さんの人柄がとにかく好きで...夢主ではないオリキャラに愛着が湧いたのは初めてでした(笑)これからもwhite12さんの小説を楽しみにしてます*。 (2019年11月21日 18時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 捺美さん» とても嬉しいコメントありがとうございます。最終話の更新が遅くなり、申し訳ありませんでした。お読み頂けただけでも有難いのに、嬉しいコメントまで頂けて本当にありがとうございます。本作はこれで終了となりますが、宜しければまた次回作でお会いできればと思います (2019年11月21日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2019年11月18日 21時
