月夜の晩に_3 ページ47
午後16時。
「奴は既に内部の人間になりすましている可能性もある。
警備員は全て確認したのか!?」
「は、はい。身分証とともに、ボディチェックは終わっています。
朝と、そして先ほど、再度確認していますが、今のところ不審な人物はいません。」
「警部、裏口から出入りした人物は今の所確認されていません。
それと――」
「うむ。佐藤くん、2Fの非常口の方も引き続き確認を頼む!」
一ノ瀬、そして現場の刑事に指示を出す中森。
横には一課の目暮警部と、佐藤の姿。
しかし、そこに三課の刑事、伊達の姿はなかった。
そして、陽もすっかり落ち、
閉館時間まであと1分という時刻となった。
“夜"を指定した予告状。
キッドが現れるなら、おそらく閉館後。
そして、まだ周囲がざわめいている閉館直後ではないかと考え、
一段と厳しい表情を浮かべ、
ブラック・レディの展示ケースと周囲を交互に見つめる中森警部たち。
Aは、展示室の入り口付近で同じく周囲を警戒していた。
そして直後、
パリィン……!
ガラスの割れる音と同時に一斉に暗くなる館内。
(…停電?)
「キッドか!?」
「配電室はどうなってる!?早く電気を!」
「警部!こちらの窓が割られたようです!」
(…音がしたのは、展示室の西側…?
廊下の窓かしら…)
暗闇の中、ざわめき出す周囲。
目の前の窓からうっすら月明かりが見えるも、これでは動けない。
周囲を警戒し、ジャケットの内ポケットに手を入れライトを取り出すと、
Aは展示室の中へと足を踏み入れた。
慌てた様子で周囲を確認している刑事の男とぶつかりながら、
展示ケースの方へと向かう。
「まだ電気は点かんのか!」
「この部屋から誰も外に出すな!一ノ瀬、入り口を固めろ!」
Aが持つライトに照らされた中森は、
険しい声で叫ぶように指示を出していた。
そして、
パッと急に明るくなる室内。
Aたちの目の前には、
“確かに頂きました”
そう小さく書かれたメッセージカードが貼り付けられた、
展示ケース。
その隅には、”怪盗キッド”の文字が連ねられており、
ケースの中に確かにあったはずのブラックサファイアは、見事に消えていた。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時