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月夜の晩に_2 ページ46

「春宮さん、どうかしました?」

『…何でもないわ。ただ…』

「ただ?」

『先日の窃盗事件の捜査の方に時間を割きたいだけよ。
2日前、米花駅の防犯カメラ映像の解析途中でしょ。
それに被害者が利用しているネットバンクのアクセス記録、怪しいIPがあったし、
そこから被害者の情報が漏れた可能性もあるし。
それに何より、もう少しで東堂を――』


「おい!春宮!2Fの通路とセキュリティ、確認してくれ!
それと一ノ瀬は周辺の防犯カメラの場所を確認しておけ!」


先日の窃盗犯の捜査ももちろんだが、
東都銀行と東堂グループとの癒着疑惑は、
もう少しで東堂の関与の証拠が掴めそうという状況なのだ。

明らかに不満そうな顔をして漏らすAだったが、
中森からの指示に、渋々といった表情で2Fへ向かったのだった。



――――――




『…これまでの被害額は約200億。
でも、盗まれた宝石はほぼ返却されてるんですよね。目的は一体何なんでしょうか…』

「んなもん知るか!奴を捕まえることだけ考えておけ!」



そして12月24日当日14時。

違和感を口にしつつも、中森警部に一蹴されてしまうA。


東都銀行の癒着疑惑、
そして先日の窃盗犯。
二課捜査を進めつつ、
これまでの”怪盗キッド”関係の捜査資料に目を通したAは、


その華麗とも言える手口。

全身白のシルクハットとタキシード、マントにモノクルを携えた長身の男性。

それ以外の情報は一切謎に包まれた世紀の大泥棒の目的に、
違和感を覚えていた。


(…世紀の大泥棒、ね…。
殺人はおろか、人を傷つけることをしない怪盗。
怪盗…っていっても、ただの”窃盗犯”だけど。)

地下の配電盤室に向かい、
全館のシステムの稼働状態、
そして、念の為、全てのプログラムの再チェックを行うA。

そして、その後、
配線も確認するため、
ジャケットの内ポケットに手を入れて取り出したのは、
ドライバーやナイフが備わったツールセットだ。

(…使いにくい…)

どうにもまだ使い勝手に慣れないそれは、
先週購入したもの。


あの立てこもり事件まで手元にあった愛用のツールセット。

あの後現場検証の際に周囲を確認するも、
結局は見当たらず、降谷に持って行かれたと思われるものだ。

似たものを購入したとはいえ、
まだ使い慣れない手元の品に眉をひそめながら、Aは配電盤の確認を続けたのだった。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時

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