月夜の晩に ページ45
“12月24日
クリスマスイブの夜に
月に照らされ輝きを増したブラック・レディを頂きに参上します”
「…チッ。舐めた予告状送ってきやがったな」
数日後。
通報を受け、現場である東都美術館にかけつけた中森警部とA、そして一ノ瀬は、
舌打ちをしている中森の手元のメッセージカードを見つめていた。
手袋をはめた中森の親指の近く、
カードの端には、”怪盗キッド”の文字と、
シルクハットにモノクルを携えたキッドのマークが記されていた。
『…怪盗キッドって…3年前に現れて以来、ですよね?
8年前までは度々現れていたようですが』
「神出鬼没のマジシャンって呼ばれてる怪盗ですよね。確か…。
本当にこんな予告状送ってくるんですね。」
訝しげな表情のAの隣で、
一ノ瀬は何やら好奇心に満ちた目で予告状をしげしげと眺めている。
「…3年前は捕まえ損ねたがな、今度こそとっ捕まえてやる」
怪盗キッドは、窃盗犯として本来は三課の担当なはずなのだが、
知能犯として二課の担当になっているのだ。
3年前に現れた際も捜査に参加していた中森は、
リベンジに燃えていた。
「…ブラック・レディは24日にだけ公開予定で、
当日は20時まで閉館時間を延長する予定なんです。」
「なるほど…。それで”夜”を指定してきている訳ですか。
それで、実際の宝石は…」
「防弾ガラスを備えたケースに厳重に保管しています。こちらに――」
支配人から案内された部屋には、
二重のガラスケースに入れられた、”ブラック・レディ”。
5 cmほどのブラックサファイアが飾られていた。
「…さすが、綺麗ですね。」
『…そうね。こんな大きいサファイア、初めて見たわ』
「それで、このケースが展示されるのは24日当日だけなんですね?
当日までの予定を――」
支配人と会話をする中森を、眉をひそめて見つめるA。
その顔を、一ノ瀬がひょいと覗き込んだ。
209人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時