疑い_2 ページ11
「悪ぃが、ちょっと話聞かせて貰えるか。」
「…ちょっと、松田くん。
すみません。警視庁の佐藤と言います。
昨夜の殺人未遂事件について、少しお話聞かせて頂きたいのですが…」
決して良い態度とは言えない松田を諌めるように、
佐藤と名乗った女性刑事が口を開いた。
『…すみませんが、後にして貰えませんか。お客さんもいますので』
店内には、コーヒーカップに口をつけながらくつろいでいる2名の男性客と、スコーンを美味しそうに頬張っている女性客。
配慮のない失礼な刑事だと、今度はAが怪訝な表情を浮かべた。
そして、少し店の外で待っていて欲しいというAの言葉に、
佐藤はどこか申し訳なさそうに目を細め、小声で承諾した。
今更ながら、接客業という状況を配慮したのか。
そして、松田は、しぶしぶと言った様子で佐藤とともに店を出て行った。
「…Aさん、警視庁…って、さっきの刑事さんですか?
昨夜の事件って…」
先ほどのような小声で、しかし心配そうに話しかけてくる由紀に、Aはもう一度ニッコリ笑った。
“大丈夫よ。何でもないから”と、言葉を添えて。
そして、店内にいた3名の客はそれから間も無く、無言で店を出て行ったのである。
話が聞こえて不快にさせてしまったかもしれない、と考えるも、もはや後の祭りだ。
『ごめん。ちょっとだけ外に出てくるから、片付けお願いして良い?』
ごめんね、と首を傾げて由紀に声をかけると、Aは小さくため息を吐いた。
そしてカフェエプロンを外すと、店の外へと出て行った。
テーブルのコーヒーカップを片付けながら、
Aが出て行った店の入り口を、由紀が不安そうに見つめていた。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月12日 20時