過ごした日々_2 ページ29
伊 「ん?諸伏、なにやってんだ?
ずいぶん仲良さそうだな?」
松 「春宮、髪ボサボサだぞ?それで写真映んのかよ」
『…うるさい』
ジトリと松田と、そして、頭上の景光を睨むように見つめ、
Aはさっと髪を直し、何やらカメラの準備をしている塔子に目を向けた。
『塔子…それどうしたの?』
塔 「フフッ。さっき、寮の隣の部屋の子に借りてきたの。
良いでしょー?」
用意していたのは、三脚だ。
カチャカチャとデジカメをセットしている。
塔 「じゃあ、皆、並んで?
えーっと…10秒後…で良いかな」
そうして、食堂の前に集まって並ぶ6人。
萩 「ん。じゃあ、春宮は小せぇから、前だな?」
『…え』
塔 「じゃあ、私はここね」
塔子は、Aの横にささっと入り、ぎゅう、とその腕を掴んだ。
景 「じゃ、俺はここな?」
そして、その反対側に、降谷の体を押すように入り込む景光。
萩 「ほらほら、陣平ちゃん。笑わねぇと…!」
松 「うるせぇ、萩原」
伊 「ハハッ。記念写真だからな?ちゃんと笑えよ?松田」
塔 「はい、チーズ…!!」
カシャッ
豪快に笑う伊達と、色男のようにさらりと笑みを浮かべる萩原、
渋々といった様子で、しかし、やはり楽しそうな松田。
そして、その前には、塔子、A、降谷、景光の順で並ぶ4人。
両脇から押されるようにして、2人並んだAと降谷は、恥ずかしそうに、
それでも、やはり警察学校の日々を思い出し、嬉しそうな、楽しそうな笑みを浮かべていた。
ぎゅっと抱きしめられるように塔子に腕を掴まれたAの瞳は、
少しだけ、揺らいでいるようだ。
ここで過ごした日々を閉じ込めたような、1枚の写真。
そこに気恥ずかしそうに映る人物が、
Aに対する不器用な言動が、行動が、
周りをやきもきさせていた降谷が、
数年後、女性にさらりと口説き文句を吐くような人物になるとは、
まだ誰も知らない。
(END)
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white12(プロフ) - ra -ra さん» コメントありがとうございます。SNOW DROPは,拙いながらも私自身けっこうお気に入りでして,警察学校組好きが溢れた作品でした。お楽しみ頂けていたなら本当に嬉しく思います。 (2021年5月26日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - やばい。何度読んでも面白い! (2021年5月18日 16時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 燎彩さん» とても嬉しいコメントありがとうございます!最高と言っていただけて本当に嬉しいです。長くはなりますが、続編 (II)も更新中ですので、もし宜しければお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月23日 13時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
燎彩(プロフ) - 完結お疲れ様でした!語彙力皆無なので一言だけ…最高です!! (2020年1月22日 11時) (レス) id: c873624ead (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - さちさん» 本作をお読み頂きありがとうございました。面白かったと感じていただけてとても嬉しいです。もしよければ続編もお楽しみ頂ければ幸いです。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年9月1日 9時