そういうこと ページ23
『何、なのよ…』
“気になって仕方ない”
そして、降谷のストレートとも言える言葉に、
戸惑うA。
先ほど、自身も、それと同じことを降谷にぶつけていた訳なのだが。
降 「…だから――」
『…卒業したら…
交番勤務が終わったら…
公安警察に行くんでしょ?』
降 「…は?」
『首席なんだし、そうなんでしょう?
…そうしたら、もう、こうやって簡単に会えないし、
話も出来ない…でしょ。』
降 「…え?」
急に何を言い始めるのか。
Aの言葉に降谷がまばたきを繰り返す。
『…何なのよ。今更。
…回りくどいって言ってるのよ…』
降 「…えっと…春宮」
『だから…!
頭から離れないって言ってるじゃない…!
降谷のことが。
イライラするって、そう言ってる、じゃない…
急にそんな風に真剣に、言わないでよ…
もう、卒業なのに…
もう、簡単に、会うことも…、出来ないのに…』
これまでの警察学校での、
降谷たちとの、降谷とのことを思い出して感情が乱れているのか、
あるいは、降谷への感情が様々に入り混じり、溢れているのか。
話をしようとしなかったのは自分も同じはず。
もう卒業であり、
卒業後はそう簡単に会うことが出来ないことに、
今更ながら、気づいたのか。
話をしているうちに、自身の感情に気づいたのか。
やや支離滅裂な言葉とともに、 Aの目がわずかに揺れ始めた。
降 「…」
『…何で、今になって…そんな風に…』
降 「…春宮…」
『…え、私…』
涙腺が緩み始めていることに気づいたのか、
ふと口にした言葉に我に返ったのか、
Aは、口元を押さえる様にしてまばたきを繰り返している。
潤んでいるAの目を見つめ、
目を細めながら、
降谷は少しだけ距離を詰める様に近寄った。
降 「…春宮。」
近づいてきた降谷をとっさに避ける様に後ずさりした振動で、
すっと、Aの目から涙がこぼれた。
『…あ、ち、違うの…。
泣きたかった訳じゃ――』
そして、小さく目を見開くA。
目の前には、降谷の硬い身体。
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white12(プロフ) - ra -ra さん» コメントありがとうございます。SNOW DROPは,拙いながらも私自身けっこうお気に入りでして,警察学校組好きが溢れた作品でした。お楽しみ頂けていたなら本当に嬉しく思います。 (2021年5月26日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - やばい。何度読んでも面白い! (2021年5月18日 16時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 燎彩さん» とても嬉しいコメントありがとうございます!最高と言っていただけて本当に嬉しいです。長くはなりますが、続編 (II)も更新中ですので、もし宜しければお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月23日 13時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
燎彩(プロフ) - 完結お疲れ様でした!語彙力皆無なので一言だけ…最高です!! (2020年1月22日 11時) (レス) id: c873624ead (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - さちさん» 本作をお読み頂きありがとうございました。面白かったと感じていただけてとても嬉しいです。もしよければ続編もお楽しみ頂ければ幸いです。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年9月1日 9時