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なんとも恰好の良すぎるプロポーズに、惚れ直した七汐だが
サラリと流せない文言がそこにあった。
『
聞き返した七汐に、祥子は愛おしそうに下腹部を撫でながら、照れ笑う。
『―――したみたい』
そこからの自らの慌て様は、思い出すだけでも恥ずかしい。
当然、祥子と家族になることもこの展開も、七汐が願っていた事で、
年越しプロポーズの後、顔合わせや入籍などの予定はそれとなく話し合っていた為、慌てる事もなかった。
ただ責任の重さを再認識しながら、こんなに幸せで良いのだろうかと怖くもなる―――。
「
はっと顔を上げると、正面で翔が睥睨を向けていた。
過日の事を思い返し、頬も口角も緩んでいたようだ。
きまりが悪くなった七汐はワザとらしい咳払いをし、
これ以上を突っ込まれないようにと話題を振った。
「それより。翔の方こそ“おめでとう”と言うべきなんだろ？」
「え？っと―――」
突然に話題を振られた翔は視線を泳がせる。
「一昨日、姫子さんが正式にINFINITY∞の次期シェフを承諾したって。おまけに今朝、
「……なんで、
不機嫌そうに唇を尖らせる翔の返答からも
七汐の推察が間違っていなかった事は容易に想像できた。
こんな弟を見ていると、七汐だってにやけてしまう。
「俺が
「話って！俺まだ
形勢逆転。
今度は七汐がニマリと意地の悪い顔を見せると、翔の口角が引きつっていく。
視線を逸らせ、頭を掻き、逡巡を巡らせて漸く「姫ちゃんと、付き合う事になった」と、白状した。
「別に。隠すつもりはなかった。
そう、幸せそうに話す弟を前に
七汐も珈琲カップをテーブルに戻し、いつもの笑顔を向けた。
「じゃぁ、俺も報告な。祥子さんと結婚する。
そして、父になる」
「はぁぁぁ⁈」
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