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玄関ホールを抜け、エレベーターボタンを押す。
七汐の隣を付いて来るところを見ると、彼女がホールに居たのは、七汐を待つためだろうか。
2月14日に、そんなことされると―――期待してしまう。
「
「今から⁈」
タイミングよく開くエレベーター扉に
流れるように乗り込みながら4階ボタンを押す。
こんな会話、
「チョコレート、好きなの食べて良いですから。代わりに
「うちからのバレンタイン“チョコ”はきちんと用意しています！」
「祥子さんの方が美味しそ……「チョコあげへんよ？」―――ヤだ」
行き先ボタンの前に立つ祥子が、３階ボタンを押さなかったのだから
部屋に行く事は“了承”と判断した。
4Dの玄関に背負っていた荷物を置き、「仕分けお願いします」と告げると、返事を聴く前に部屋を出た。
扉が閉まる前に、「え、ちょっと……」と文句が聞こえてきたが、すぐさまスマートフォンで『着替えてきます』とメッセージを送る。
祥子のペースに任せてしまえば、きっと“バレンタインチョコ”を渡されて部屋から追い出されてしまう。
だけどこうすれば、
仕事終わりの疲れた頭でも、こんな打算事には知恵が働く様だ。
３Cの玄関ドアを開けた時、メッセージの返信が届いた。その文面に、七汐の口元が綻ぶ。
『夕飯作っておくから、ゆっくりいらっしゃい』
今夜は、チョコレートのように甘い
夜になりそう―――。
・
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