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「そんな事ない。俺の我儘の事にも配慮して先々を考えてくれていた事は凄く嬉しいし、俺だって祥子さんとのこれからにワクワクしている。
祥子さんの気が変わってしまわないうちに、早く進めたいのは俺も同じ。
だから、価値観の違い……」
「価値観?」
訝し気に双眸を細めた祥子。これから生涯を添い遂げようという相手と、価値観の違いがあると言われれば気にもなるだろう―――、
だが、七汐が伝えたかったのは そこではない。
「俺は、家とか名前とか―――日取りとかにこだわりはない。
俺にとって一番大切な事は、貴女が傍にいてくれる事であり、笑ってくれる事であり、幸せだと感じてくれる事。その過程に、俺が関わっている事。」
―――だから、大切な事は祥子さんが決めていい。
貴女の希望を出来る限りで叶える事が、俺の幸せだから。
負担なんてない、大変だとも感じていない。
寧ろ、これから起こる全ての事にワクワクしている―――
忙しくなるだろう
そこには今まで以上の”責任”を伴う。
だけど、貴女が隣に居てくれるなら その全てが”幸せ”だから
「予定表、アプリで共有する?これからは”家族”になるんだし」
「―――……そうやな、その方がお互いの予定が見えるし、計画も立てやすいか。
なんか、照れるわ」
「ふふ♪俺も、」
七汐は自らのスマートフォンを引き寄せ、カレンダー共有アプリケーションをインストールした。
気付けば日付が変わり、淡いディスプレイライトが並ぶ二人の顔を照らす。
今は真っ白なカレンダーに、
これから一つずつ二人の予定が書き込まれていくのだろう。
インストールしたばかりのアプリケーションを早速操作し、祥子が何やらかき込んでいる様子。
暫くして、ピロンという軽い電子音と共に共有された”予定”がポップアップした。
「12月31日―――プロポーズ記念日?」
「そう……」
早速入力された”予定”は、
続いて2月14日に新たな予定が電子音と共にポップアップする。
「2月14日―――プロポーズ記念日second?」
クスッ。
思わず笑いが込み上げる。
(ホント。こういう所、可愛いんだよな―――祥子さん)
「きちんと予定、開けといてね?」
「承知しました」
一年の計は元旦にあり―――
新たな門出を、これからも宜しくね。
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