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まぁ。
睦にとって
それを察しての事か、はたまた別の思惑があるのか―――。
先に部屋を出た睦を追い、玄関扉を前にした立花は、思い出したように立ち止まると
残された湯呑を片付けようと手にする七汐に、白々しい視線を向けた。
「ああそうだ、萩原君。幾ら寝顔が可愛いからと言って、無防備な
妖艶に微笑む薄い唇に、七汐も対抗して双眸を細める。
祥子が立花に、
彼女が思う程七汐は、
「立花さんも―――。有能な
煽り返すような七汐の微笑に、立花は一瞬たじろいで見えたが
直ぐに「善処する」と、不敵な笑みを浮かべて部屋を出た。
ばたんと閉じられる
玄関扉の音。
急に静けさを取り戻す4Dの部屋に、七汐の溜息が木霊した。
久々に帰国した
リビングのソファーには、出かける寸前まで悩んでいたと思われるコートが無造作に置かれていた。
「こんな所に置いたままだと、皺になるじゃないですか……」
湯呑を洗い終えた七汐は、ソファーに置かれたままのコートを手に取り
寝室の扉を開ける。
併設されたWICのハンガーに、丁寧にコートを掛けると
祥子の眠るベッドに腰掛けた。
カーテンから零れる静かな月明りが、アルコールに火照った祥子の顔を、柔らかく映し出す。
「“私の親友を困らせないで”―――か。
……無理だろ、こんな可愛い寝顔見せられちゃ」
祥子には、当分の間“外飲み禁止”だと言い聞かさなければ―――
小さな寝息を零す 無防備な祥子の唇を
七汐は深いキスで覆った……。
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