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ページ12

まぁ。
睦にとって祥子(七汐の想い人)の部屋など、色々と気を使い居心地がいいはずもない。
それを察しての事か、はたまた別の思惑があるのか―――。


先に部屋を出た睦を追い、玄関扉を前にした立花は、思い出したように立ち止まると
残された湯呑を片付けようと手にする七汐に、白々しい視線を向けた。


「ああそうだ、萩原君。幾ら寝顔が可愛いからと言って、無防備な私の親友(祥子)をあまり困らせないでくれよ?」


妖艶に微笑む薄い唇に、七汐も対抗して双眸を細める。

祥子が立花に、年下彼氏(七汐)の事をどのように紹介していたのかは判らないが
彼女が思う程七汐は、純粋(可愛い)くもお人好しでもない。


「立花さんも―――。有能な俺の後輩()は明日も外来勤務を控えているので、あまり無理(・・)をさせないで下さいね」


煽り返すような七汐の微笑に、立花は一瞬たじろいで見えたが
直ぐに「善処する」と、不敵な笑みを浮かべて部屋を出た。





ばたんと閉じられる
玄関扉の音。


急に静けさを取り戻す4Dの部屋に、七汐の溜息が木霊した。

久々に帰国した立花(親友)との飲み会に、浮足立っていたのだろうか
リビングのソファーには、出かける寸前まで悩んでいたと思われるコートが無造作に置かれていた。


「こんな所に置いたままだと、皺になるじゃないですか……」


湯呑を洗い終えた七汐は、ソファーに置かれたままのコートを手に取り
寝室の扉を開ける。

併設されたWICのハンガーに、丁寧にコートを掛けると
祥子の眠るベッドに腰掛けた。


カーテンから零れる静かな月明りが、アルコールに火照った祥子の顔を、柔らかく映し出す。


「“私の親友を困らせないで”―――か。
 ……無理だろ、こんな可愛い寝顔見せられちゃ」


祥子には、当分の間“外飲み禁止”だと言い聞かさなければ―――



小さな寝息を零す 無防備な祥子の唇を

七汐は深いキスで覆った……。




Glass 56 :涙雨→←*



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作者名:kohaku | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年11月12日 22時

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