⋆ ページ7
・
(え。こんな分かりやすい子やったっけ―――)
「?!―――ッ。そう言うのって、言わせますか?!」
これでも必死に、恰好つけてんのに……
「恰好、つけてたん?」
「いや。ツッコミ処、そこ?」
すっかり形勢が逆転し、興を削がれた七汐は頭をくしゃりと掻き乱した。
「素でいける訳ないじゃん―――。
そりゃ、どう足掻いたって貴女の
「そんな事、気にしていたん?」
「気にするでしょ!!」
声を荒立て慌てる七汐を前にすると、祥子の方が逆に冷静になれる。
確かに、INFINITY∞に押しかけてくる元婚約者の存在に悩まされた事もあったが、
あの一件以来彼がINFINITY∞を訪れる事はなく、
祥子自身、指摘されるまで元カレの存在を忘れていた程だ。
それどころか、近日中はやや強引な七汐の挙動に振り回されて、彼以外を考えられなかった。
まんまと七汐の術中にハマって絆されていく自分が、楽しくすらあったのに。
そう思えば、急に彼が可愛らしく感じてしまう。
普段、滅多に慌てる事もないクールな振りをしているくせに。
年下お試し彼氏は、
こんなにも振り回して、ドキドキさせて
こんなにも 愛おしい。
(
“お試し期間”の結果は 期限を待たずに君の勝ち。
うちはこの先も、君にドキドキさせられたい。
君の夢を、一番近くで応援したい。
だから―――
「いいよ―――」
「?」
「だから―――“ご褒美”」
離れた距離を埋めるように両手を伸ばし、慌てる七汐の頬に触れると
祥子は不意打ちの深いキスで答えを返した。
・
・
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ