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隣でボンネットの中を覗き込む祥子に気付き、七汐は慌てて言葉を止めた。
洗車で借りる約束だった。メンテナンスまで口出しするのはお節介が過ぎた。
七汐の車は双子の弟と共有しており、今は使用頻度の高い翔の方に預けてある。
メンテナンス等は弟が定期的に行っていた為、人に車を触られる事に抵抗を感じていなかったが、一矢や洋平のようにプライベート空間である愛車に踏み込まれたくない者も多いだろう。
七汐自身、バイクの方は翔にすらほとんど触らせていないと言うのに。
戸惑う七汐に、
案の定、祥子の表情は強張っていた。
(祥子さん、怒ってる？お節介、やり過ぎた……よな)
「あ……っと。すみません、取り敢えず洗車場行ってきます」
慌ててボンネットを閉じる七汐の腕が、遠慮がちに引かれる。
七汐の想像とはまた違った緊張を、祥子は抱いていたのだ。
(ウチが苦手なのは―――こういうところ。言うなら多分、今しかない)
ぎゅっと手を握りしめ意を決した祥子は、たどたどしくも言葉を紡いだ。
「いや、いい。うち、そう言うの苦手やし―――萩原君が詳しいなら教えてくれると嬉しい。
これからは長距離移動も増えるかもやし。ほら、一緒に出かけたり、とか……」
いきなり、大胆になり過ぎただろうか。
外していた視線を七汐に戻すと、彼は掴まれていない手で口元を隠している。
それは―――照れているの？
覗き込む祥子に、七汐はふいと視線を逸らせた。
「ドライブデート、してくれるって事で言質取りましたからね！
車のメンテも、任されました。
ってか、祥子さんが俺を頼ってくれるのって―――嬉し過ぎるから」
―――愛車、お借りします。洗車場行ってきます。
それだけ言うと、七汐は逃げるように運転席に乗り込んだ。
彼の頬が心なしか赤く染まって感じるのは、暮秋に似合わないこの暑さのせいだろうか。
勇気を出して頼ってみたら あんな風に喜んでくれるのだ―――と、
ほんの少し、
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