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後日―――
「で。なんでうちの車の洗車なの?」
洗車の為、車の鍵を受け取りに来た七汐に、祥子は思い切って訊ねてみた。
彼の手には、洗車セットらしきバケツと買い足したであろうカー用品の入ったビニール袋が握られており、祥子の車の洗車の為にわざわざ買い足したなら申し訳ないとも思ったが、一矢からは余計な気を回すなとアドバイスされている。
「自分のバイクはこの前洗ったし、一矢さんや洋平さんは
(なる程―――。都合よくうちの車が汚れていた、ってわけね)
どうやら、一矢のアドバイスに合った
だとすれば、
「―――……どうして洗車なん?」
祥子は話をしながら七汐の後について駐車場に向かう。
「やり終えた時の充実感?かな。もしかして、祥子さんも車触られるの嫌だった?
それなら―――」
遠慮がちな七汐に、祥子は両手を振ってNOを伝えた。
「え、いや……そんなんじゃないんよ。メンテナンスなんて自分でしないから、汚れたらガソリンスタンドの洗車機に通してはい終わり〜って感じやったし。寧ろ洗車してくれてラッキーって思っとる」
「え。メンテしてないの? 前回のオイル交換したのって、いつ?」
「オイル交換?」
彼女の曖昧な反応に不安を覚えた七汐は双眸を顰め、持ってきた洗車セットからペーパータオルを出し、ボンネットを開けた。
車の事は車検の際、プロに全て任せている為細かくは把握していないが、何か問題があっただろうか。
七汐の隣で首を傾けながら、祥子は、オレンジ色のオイルレベルゲージを引き抜きラインの確認をする作業を、覗き込んだ。
「ってことは2年毎、か。
ウォッシャー液も減っているし、祥子さんは長距離移動に使っていなさそうだけど、もう少し頻回にメンテ入れた方が―――……
って、すみません!勝手な事を!!」
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