検索窓
今日:35 hit、昨日:0 hit、合計:3,413 hit

ページ25

「あ、いや……私は医師ではないので、きちんと病院で精査を受けた方が良いです。
飲酒習慣があるなら控えておく方が宜しいかと」


七汐の言葉を追い風に、祥子の母はここぞとばかりに父を責め立てる。


「ほぉら!七汐くんも、お酒は止めなさいって言ってるじゃない!」

「今日くらいはいいだろう⁈この日の為に鹿児島から芋焼酎も取り寄せたんだぞ!」

「また勝手にお取り寄せしてッ!ダメよ!お酒は一日ビール1缶までって決めたでしょ⁈
来月は引きずってでも病院連れて行きますからね⁈」






「ラッキー!焼酎、父さん飲まんのやったらうちがもろて帰るわ」

「祥子さんもダメです。お酒弱いくせに……」

「一緒に飲むならええやろ?あかんと思たら、萩原君が止めてくれるんやし」

「だったら、持ち帰らないように未然に止めます」

「えぇぇぇぇ……殺生ゃ」



祥子は眉を蜂の字に歪め、口を尖らせた。

(そんな可愛い仕草を見せても、ダメなものはダメです!)

……ダメだから、
酒に崩れた貴女を見て、困るのは俺なんだから。



先程までの緊張はどこへやら。
リビングはすっかり和やかな雰囲気へと包まれた。



リビングに、何も置かれていない(・・・・・・・・・)ところを見ると、七汐の来訪前に関連するような物を全て片付けたのだろう。
予告なく訪問する事を提案したり、防犯カメラでの観察や七汐を試すような計らいはやや特殊性を感じる。
余程警戒されているのかと不信も感じたが、祥子と両親の様子を見ているとそれも杞憂であったようだ。

団欒の後、祥子は母親に連れられて奥の間に消えていく。
リビングを出る際、再び父親に鋭い一瞥を向け「萩原君苛めたら容赦せぇへんから。秘蔵の年代ワインも全部持ち帰るからな?」と吐き捨てた。

「ちょっと待て祥子!お前、なんでそれを知っとるんや!」

この父娘、ツッコミどころが多すぎて戸惑うが、仲が良い事は素晴らしい事だ。
INFINITY∞では皆の姉的存在の彼女だが、実家では“子供”のようで微笑ましい。

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:小説 , 恋愛 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:kohaku | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年7月23日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。