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小柄な母親とは対照的に、父親の男は熊のように大柄で強面だった。
座高と下腿の長さから、身長は180�僂鯆兇┐襪世蹐Δ�。
祥子の年齢から察するに50台半ばから60台くらいと推測するが、半袖カッターシャツから除く屈強な両腕やスラックスに浮き出る大腿筋を見れば、柔道か何かを現役で行っているだろう。
年齢と雰囲気から管理職をしてそうだが、日焼けの程度から仕事は外勤が主か。
皮膚と目の色から肝臓が悪そうだ。運動習慣はありそうだが、酒をよく飲むのだろうか。
左腕には、長年使っていると思われる傷の入ったデジタル時計……と。
失礼だと思いながらも、初見での人間観察は癖のようなもので自然と観てしまう。
それは
覚悟はしていたが、男からの試されるような視線に、七汐は居心地の悪さを感じていた。
何よりも、隣に座る祥子の視線が―――怖い。
要らぬことを口走ろうものなら噛みつくかのように、熊のような自らの父に対して敵意を見せる。
祥子の視線に居心地の悪さを感じたのか、男は七汐を視回していた視線を逸らせ、間を切るようにワザとらしく咳払いを落した。
ゴホン。
「―――……。
緊張しなくていい。君を予告なく連れてくるようにと言ったのは私だし、”礼儀知らずな男”だとも思っていない。
”娘を……”の件は、祥子が決める事で我々がどうこうと言うつもりはない」
「?!！」
(どうして、屋外での会話を知っている―――？)
七汐の警戒と同時に、祥子は再び噛みつくような視線を父に向ける。
そんな祥子が口を開く前に、彼女の目の前を琥珀色のグラスが横切った。
「ふふっ！びっくりしたでしょ？ごめんなさいね〜」
飛び掛かるような祥子の視線が、母親にも注がれる。そんな彼女の視線に臆することなく、母親は自らのペースで七汐達の前に4人分のアイスティと茶菓子を並べていく。
一触即発の張り詰めた空気が、一瞬にして熱を冷ました。
興を削がれた祥子と父親は互いに外へと視線を逃がすと、アイスティに手を伸ばす。
この一瞬の出来事だけで、篠山家の家族関係を垣間見ることが出来る。
確かに、この父と娘の間には―――彼女のようなおっとりとした
「お気遣い有難うございます」
笑顔の七汐に、祥子の母は「七汐くんはガムシロップいるー？」と空気を和ませた。
本人は無意識なのか、意図されたものなのかは分からないが。
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