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「これからどこへ？何を用意すればよいのか分からなかったので、本当に一泊分の荷物しか持ってきていませんよ？」
夏場。
男の一泊分の荷物など、量が知れている。
隣の椅子に置かれた
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Caféで小腹を満たしてからは、街をぶらり散策。
大きな本屋で祥子お薦めの“英語の参考書”を紹介されたり、賑やかな街並みを並んで歩いたり。
手慣れた感じのエスコートに、
この地域が祥子にとって土地鑑がある場所なのだという事は、容易に想像がつく。
初めての屋外デートなのだから、自らのフィールドで動く方が安心できるのかもしれないが、
これは七汐にとっても、メリットでしかない。
祥子の部屋に似合う可愛い小物のお店で頬を緩める彼女は、
家で会う時とはまた違った自然な姿で、
彼女が何を好きなのか
どんなものに興味を惹かれるのか
歩く歩幅や、動く視線
好みの服や、好みの雰囲気のお店
細やかな気遣いや、声を上げて笑う顔も
どれもが新鮮で、愛おしくて、目が離せなくて―――
ますます彼女を 好きになっていく。
・
カフェタイムの後は電車で移動し、住宅街を歩く。
次はどこへ、案内してくれるのだろうか……
期待を膨らませ、雑談を交わしながら暫く住宅街を歩いていると
はたりと、祥子が足を止めた。
周囲を見渡すが、特に目立った建物や、観光地らしきものは見当たらない。
「着いたよ♪今日の宿。ここ―――うちの実家」
「え？・・・・・・。
えぇぇぇぇ!!」
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