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真っすぐな瞳で、素直に思いをぶつけてくれるところは
確かに澪と似ている。
病院(職場)ではクールな印象も受けたが、こうして接してみると非常に興味深い。


よく考えてみれば、その筈だ。
I-nfinity∞の居住者は、皆何かの目標に向かって頑張っている人で
あの三笠夫妻が選んだ“お気に入り”でもあるのだから。


(―――彼が、悪い人であるはずがない)


「まぁ、正直―――複雑なところもありますが」
―――(身内)のイロイロを想像してしまうので。

「ははっ……。そこはもうノーコメントで」



乾いた笑いを浮かべ、七汐も視線を逃がした。
ちらりと戻した視線の先で、睦はしずしずと珈琲を口にする。

元より、彼が気にするほど澪に蟠りを抱えているわけではないし、
本人ではなく“弟”ならば尚更だ。


「俺も、柏木とは仲良くしたいと思ってるよ」
―――君の所属部署。抗がん剤治療、だっけ?あれの事も、色々教えて欲しいし。

「ホント、ですか?」

「あ―――っと。柏木っていうと澪と紛らわしいから、I-nfinity∞では睦でいい?cafeの常連に実弟いるから、俺の事も七汐でいいし」

「わかりました、七汐先輩。それと、職場でも“睦”でいいですよ。
姉の事も、“澪”って呼んでるんでしょ?」



指摘を受けるが、苦言を返せない。
入職時の同期であり元カノでもあった澪の事は、名前で呼んでいた為、今回睦の苗字を柏木だと聴かされた時、彼女の関係者だと直ぐにリンクできなかったのだから。



「ははっ―――じゃぁ、あっちは“柏木ナース”にするよ」

「絶対文句言われると思いますよ? アイツ、まだ七汐先輩に未練たらたらだから」

「そんな風には見えないな。
新しい男の噂は、色々聞くけどね。聴きたくなくても」

「すみません……」

「いやだから、睦が謝る事じゃないだろ」



I-nfinity∞で、フランクに話が出来る同性の存在は
七汐にとっても有難い。


偶然が、思わぬ出会いをシンクロさせる。
七汐の心には、新たなワクワクが芽生えていた。




Glass 46 :逢瀬→←*



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作者名:kohaku | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年7月23日 23時

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